ブルース・リーに横山やすし!「唯一無二なニットセーター」の編み物職人を直撃
1か月くらいで編めるようになった
──全くの未経験から編めるようになるまで、どのくらいかかるんですか?
堀ノ内:図書館で編み物に関する本をたくさん借りてきて、それを見ながら独学で勉強して、無地のセーターは1か月くらいで編めるようになりましたね。
──デザインを入れた、最初の作品はどんなものですか?
堀ノ内:僕の大好きなブルース・リーを手編みで作りました。すると、家族や友人に評判が良かったんです。なので、次にインパクト重視で横山やすしを作ったんですね。そうするとこれも好評だったので「いけるかも!」と思いました。そこからは、売る売らないは置いといて、たくさんの作品を作りました。それが2013年ごろですね。
──始めてすぐ形になるものなんですか?
堀ノ内:最初は棒を使って手編みしてたんですが、一着作るのに30日以上かかるんです。これじゃ仕事にならないなと思って、家庭用の編み機を導入しました。それでも1週間に1着が限度ですね。
グラフィックデザイナーだからこそ
──グラフィックデザイナーの知識や技術が、ニット製作に活かされている部分はありますか?
堀ノ内:活かされているどころか、グラフィックデザインの経験がなかったら、今の写実的なスタイルの編み物はできないですね。写真を製図に起こす工程で、イラストレーターやフォトショップなどグラフィックソフトが不可欠なので。
──描写のようでグラフィックなんですね。
堀ノ内:製図を作るだけでも結構な時間がかかります。目元なども1マス色がズレるだけで全然表情が変わるので、まったく気が抜けません。