大炎上した「ねこホーダイ」、誤解を招くネーミングだけじゃない“失敗の本質”
打ち出したメリットが裏目に
ただし、これらの内容はサービスの利用規約に細かく目を通さなければ把握できません。ユーザーは規約の内容を理解、承諾した上でサービスを利用しなければならないとはいえ、すべてのユーザーが全文に目を通して理解するというのは現実的ではないでしょう。
少なくとも公式ホームページのサービス内容に、そのようなものであることを記載するべきでした。おそらく、保護猫を引き取る際の手のかかる部分を省き、手軽に猫を飼うことができる点をメリットとして打ち出したかったのでしょう。それが裏目に出てしまったのは明らかです。
本業とのシナジー効果が薄い謎の事業
のら猫バンクの代表を務めるのが岡本武之氏。岡本氏は証券会社を渡り歩いた生粋のビジネスマンで、現在は「中小企業ホールディングス」という東証スタンダードに上場する会社の代表取締役社長です。
中小企業ホールディングスは建設事業をメインとし、エンジンオイルやコスメグッズの販売などを行っています。2021年11月に花の木シェルターと業務提携契約を締結しました。中小企業ホールディングスが100%出資してのら猫バンクを設立しています。
のら猫バンクは当初、野良猫保護施設の不動産選定を行うアプリ制作も進めていました。
不動産事業を行う中小企業ホールディングスのネットワークやノウハウを活かす狙いがあったものと考えられます。さまざまな思惑が交錯する中で、「ねこホーダイ」というサービスへと収れんしたのでしょう。本業とのシナジー効果が薄く、中小企業ホールディングスがこの事業を行う理由が見当たりません。