ライブ配信サービス「ツイキャス」、投資家への“裏切り行為”が示す危機感
売上高が伸びなかった理由は?
モイの1番の問題点は売上高が伸びなかったこと。モイはコロナ禍の行動制限解除に伴う可処分時間の減少の事業に与える影響が、当初の予測を超えるものだったとしています。
つまり、コロナ禍で配信者やユーザーの可処分時間が増えて2021年1月期、2022年1月期は大きく売上高が伸びたものの、その反動に見舞われたというのです。業績修正後の成長スピードが特需の影響を受けない本来のものだと言っているに等しい内容です。
売上高の半分を還元する薄利なビジネスモデル
ライブ配信は強力な競合がひしめく苛烈な市場。YouTubeやInstagram、ニコニコ生放送、SHOWROOM、Pococha Live、17Live、ふわっちなど、新旧さまざまなサービスがあります。
競合に差をつける施策として、配信者への報酬を引き上げることが考えられます。人気の高い配信者ほど活発に投げ銭が行われるためです。とはいえ、報酬の引き上げは簡単ではありません。モイの原価率は50%ほどですが、この大部分が配信者に支払われています。
すでに売上高の半分を配信者に還元しているのです。しかも、決済手数料で売上高の30%を引かれています。モイは売上高の80%を配信者への報酬と決済手数料に充てており、ビジネス構造が薄利だという特徴があります。
売上高を引き上げて人件費や通信費、地代家賃などの固定費の比率を下げ、利益を出さなければなりません。しかし、売上高の大幅な成長は今のところ見込めません。進退窮まったようにも見えます。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>