「100万円をホストのために」東北の優等生が“ホス狂いの風俗嬢”になったワケ
20万円の会計を貯金から捻出
尾島美幸は自分のことを理解してくれたと思って、凌馬のことが好きになった。好きな人を喜ばせてあげたかった。誘われたらホストクラブに行くようになり、3回目のときにシャンパンを入れている。会計は20万円を超えた。上京して1人暮らしを始めてから、ずっと居酒屋でアルバイトをしていた。週3日以上は働いて、収入は月7万~10万円。両親の仕送りもあったので40万円くらいの貯金があった。20万円のお会計は貯金から支払った。
「請求金額は高かったけど、ホストクラブだし、そんなものかなって。それからは残りの貯金と、親からの仕送りをバレないように使って店に行くようになった。頻度は週1とか2とか。それで担当からの“育て”もあった」
時間をかけて細客を太客やエースに育てる「育て営」のことだ。店以外でも店休日に富士急ハイランドやディズニーランドでデートしたり、普通の大学生カップルのような時間を過ごした。店休日のデート代は凌馬が出してくれた。状況が変わったのは出会って2か月が経った5月。凌馬から「来月の誕生日、美幸ちゃんにタワーをやってほしい。お願い」と頼まれた。タワーとはシャンパンタワーのことで100万円以上かかる。
中央線沿いのデリヘルに面接に行って…
シャンパンタワーは最低価格100万円で上限はない。毎週のホストクラブ通いで貯金も尽きていた。突然、100万円と言われてもとても用意できない。現役の大学生が1か月間でその金額をつくる選択肢は一つしかなかった。
「マジかってなった。私は押しに弱い。それと誰かに必要とされたい人間だったので、すごく悩んで夜のお仕事(風俗)を始めることにした。この話を他のホストにすると、すごいよ、なかなかいないよって言われます。それまで彼が休みのときにデートしてくれてたし、一緒にいる時間が多かった。距離が近い存在だったし、なにより好きだったし、自分でできることならば、彼のためにしてあげたいって気持ちになった」
風俗嬢になることを決めて、誕生日にシャンパンタワーができるように頑張ることを伝えると、凌馬だけでなく店の代表や幹部も大喜びだった。シャンパンタワーを実現するために、すぐに生活を変えた。店長に謝って居酒屋のシフトを大幅に減らし、歌舞伎町で声をかけられたスカウトマンに連絡をして風俗店を紹介してもらった。
「中央線沿いのデリヘルに面接に行って、その日から働きました」