軽く注意したら、いきなり退職届…新世代とのやり取りに苦悩する上司の話
軽く注意したつもりだったが…
「新人のAくんが会社を辞めたいと、退職代行会社を使って告知してきたようです。その代行会社の担当者が言うには、退社の理由は僕が厳しい仕事の注文ばかりして、さらに無理やり会社に来いと指示したからだとか。
部長も事情は知っていましたが、厳しい言葉で叱責していないかなどの事実確認をさせられました。どうも、人事部からは、僕がパワハラをして新人を辞めさせたと連絡がいったようなんです。なんとか説明をして、自分の疑いは晴れたのですが、社内では変な噂が広がってしまいました」
鈴木さんが新入社員のころもパワハラやセクハラには厳しかったとはいえ、さすがに一言注意しただけで会社を辞める新入社員にジェネレーションギャップを感じたそうです。
気持ちはわからないでもない…
「会社で顔を合わせてコミュニケーションを取れていたときは、先輩に説教されてもすぐ退社するなんて社員はいなかった。テレワークが進んで、社員同士の顔を見ることも少なくなったことが、こんなに怖いことなんだと痛感しました。他の部署でも、すぐに辞めてしまった新入社員もいたようで、会社では研修や仕事の進め方を急ピッチで整え始めたようです」
新入社員の退職騒動に巻き込まれた鈴木さん。しかし、Aくんの気持ちもわからないでもないと話してくれました。
「もし、自分がいま新入社員で右も左もわからないのに、リモートワークばかりだったら心が折れていたかもしれない。Aくんに指導したやり方に問題はなかった自信はありますが、もう少し不安を取り除いてあげられたかもと自問自答しています」
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コロナ禍でこれまでにない働き方を求められている昨今、Aくんもまた、コロナに翻弄されてしまった一人なのかもしれません。
<TEXT/高橋マナブ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>