三菱商事、利益1兆円超えも。「5大総合商社」の“真の勝ち組”はどこか
総合商社5社(三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事)の2023/3期第2四半期決算が公表されています。三菱商事は2022年度の最終利益を8500億円から1兆300億円に修正しており、これが実現すれば商社として初の利益1兆円超えになります。
さて、総合商社5社の業績を見ると、コロナ禍では資源価格に大きく影響されていることが分かります。各社、事業内容に特徴はあるものの、やはり資源事業の動向に左右されてしまうようです。
三菱商事:日本の商社の中で最大規模の収益
物を買って売る問屋のような印象のある総合商社ですが、鉱山や油田を抑えているほか、投資先のからの投資収益が大きなウェイトを占めるため、業績判断には収益(売上高)や営業利益ではなく、最終利益(純利益)が重要視されます。営業利益を公開していない商社もあります。
三菱商事は日本の商社の中で最大規模の収益をほこります。総合商社としてさまざまな財を供給していますが、2022/3期の純利益が特に大きいセグメントは金属資源(純利益4207億円)、天然ガス(1051億円)、自動車・モビリティ(1068億円)、電力ソリューション(505億円)などで、資源関連の事業が大部分を締めています。2020/3期から2022/3期までの業績は次の通りです。
【三菱商事株式会社(2020/3期~2022/3期)】
収益:14兆7797億円→12兆8845億円→17兆2648億円
最終利益:5354億円→1726億円→9375億円
利益1兆円超えを見込む
2021/3期は収益が13%も減少しました。コロナ禍に伴う石油事業の取引数減少や、原料炭の価格下落に起因します。セグメント別では金属資源、天然ガス、自動車・モビリティ、総合素材など主要事業がいずれも最終利益が減益となりました。取引数の減少の他、投資先企業の価値減少により固定資産減損損失を計上したことも減益要因です。全社最終利益は7割弱も減少しました。
翌2022/3期は一転、経済活動が回復したことで業績が回復しました。金属・石油資源の取引数増加に加え、資源価格が高騰したことで収入と利益が大幅に増えました。商社は買った資源を売るのではなく、自社が握っている鉱山やガス田から資源を直接得るビジネスモデルのため、石油元売業界と同じく資源価格の高騰が増収増益につながります。自動車・モビリティ事業の好調も増益に貢献しました。
なお、同社は2023/3期の最終利益について初の1兆円超えを予想しており、2022年度も経済活動の再開と資源高による恩恵を得ているようです。