脱中国する富裕層が日本の不動産を“爆買い”するワケ。意外なエリアが人気に
規制強化の中、資産移動の抜け道は?
「潤」たちの莫大な資産は、実際のところどのように中国外に持ち出されているのか? とある在日中国人富裕層は次のように話す。
「現金の持ち出し規制があるので、中国大陸にしか資産がない人は、ゲームセンターのメダルと同じで持ち出しができない。1年ほど前までは、地下銀行や仮想通貨で日本に持ち込む方法もありましたが、今年3月からは中国の銀行口座から5万元以上を引き出す場合、その資金の出どころや使途を報告しなければならず、事実上不可能に。数千万元以上の金額を引き出すとなると、当局にマークされます。それで海外移住を思いとどまっている人はたくさんいます」
また、中国共産党は、配偶者や子供が外国株式や外国不動産などの海外資産を保有している幹部を昇進させない方針を発表した。だが、方法はいくつも存在しているという。
「徐々に厳しくはなっていますが、例えば日本支店を持つ本国の銀行に10億円置いて、実行するときに同額の融資を受けられたりする。あとは、買った物件を中国本土の人間に転売したりですね。最近多いのは、特に大きな金額を扱う際は海外持ち出し制限のないビットコインの手数料をとって還元するロンダリング。まだ有効で、その専門業者もいる」(事情通)
ビザを専門に手配するブローカーも存在
また、在留資格はどうクリアしているのか? ここには、取得が容易な経営管理ビザ(旧投資経営ビザ)が関係している。5年ほど前に同ビザを取得した女性は話す。
「在日中国人社会には、経営管理ビザの取得を目的に、あらかじめ登記されたペーパーカンパニーがいくつもある。年間100万~200万円程度を支払えば、カンパニーの経営者として、ビザを永続的に更新できるのです。それに中国人ブローカーに50万円を支払うと、入管への提出書類など一式揃えてもらえます。WeChatでは、ビザを専門に手配するブローカーの広告がたくさんあります」
抜け道はいつまで有効か。
<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
【周 来友】
中国・浙江省生まれ。通訳・翻訳会社を立ち上げるほか、タレントとしても活動。YouTubeチャンネル「地球ジャーナルゆあチャン」