コロナ禍の百貨店跡再生、カギはデパートに?激動の「小売業界2022」を振り返る
小売業界における今年前半のトピックとして外せないのが、名古屋エリアの「2つの百貨店跡」をめぐる動きだ。この2つの百貨店跡に共通するのが、いずれも「再活用に際して百貨店が運営する小型店が出店した」ということ。
一方で百貨店運営の小型店とはいえども、両者の業態は全く異なるものとなった。コロナ禍のなか大都市圏・地方を問わず、閉店が相次ぐ百貨店。果たしてどういった再生がなされたのであろうか。
【1】2021年閉店の「松坂屋豊田店跡」が再出発
【2022年3月末】
松坂屋豊田店跡、目玉は「三越のミニデパート」(3月25日)
創業400年!「マルエイガレリア」の丸栄デパート、「飲食店」に専念(3月31日)
百貨店閉店からの早期の再生に成功したのが、愛知県豊田市の名鉄三河線豊田市駅・愛知環状鉄道新豊田駅前にある豊田市駅西口再開発ビル「T-FACE・A館」にあり、2021年9月に閉店した「松坂屋豊田店」(旧・豊田そごう)の跡だ。
2022年3月23日にプレオープン・25日にグランドオープンした松坂屋豊田店跡(T-FACE・A館)のリニューアルは、建物を所有する街づくり会社「豊田まちづくり」主導によるもので、松坂屋の閉店発表直後から再生へと動き、百貨店閉店からわずか約半年での全館再開へと至ったもの。
目玉は「三越のミニデパート」
かつて百貨店ブランドが並んだフロアには新たに高品質スーパー「成城石井」、インテリア「ニトリデコホーム」、ホームセンター「コーナン」、書店・文具「丸善」などが出店。そのなかでも目玉となっているのが、2階に出店した小型百貨店「三越豊田」(4月22日グランドオープン)だ。
三越豊田は百貨店といえどもワンフロアのみ、店舗面積は約1900平米。コンセプトは「日々のくらしを楽しく、豊かにするフードやファッション&ライフスタイル雑貨を一堂に集めたワンフロアストア」で、食品・アクセサリー・生活雑貨など約20のショップ・ブランドが出店する。
そのうち7店はスイーツ店が占めており、実際に店舗を訪れてみると普段はあまり百貨店を使わないであろう学生がアップルパイなどを買い求める姿を見ることができた。