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なぜ過剰な長時間労働は生まれるのか?「日本の悪しき労働文化」を弁護士に聞く

学び

フリーランスは労働基準法の適用外?

 フリーランスは労働時間があってないようなものだが、その場合はどうなるのだろう。

「フリーランスの場合は、そこが微妙で難しくもあるのですが、おそらく業務委託のような形になっていることが多いと思います。業務委託や請負は、まさにミッションで契約する形式なので、働く時間が決まっていない場合も少なくありません。労働基準法が労働者に適用される法律になっているのに対し、フリーランスの方は、法的には労働者ではないとされ、労働基準法はじめ労働関連法規全体が適用されないということになります

 だから、いかに長時間労働であろうとも、与えられたミッションを続けることは、なんら法律的には問題ないことになってしまうんです。ただ、どうミッションを完遂させるのかはご本人の自由のはずなのですが、実際は、UberEatsの配達員の方々が業務委託なのに、労働者のような拘束性のある働き方をさせられている問題など、労働者と呼んで差し支えない業務指示を受けている現状が多いです」

長時間労働させる会社にはパワハラが

ブラック企業

長時間労働が長い=パワハラ上司がいる」というイメージがあるが、労働基準法が守られていない職場には共通項があるのだろうか。

「長時間労働に対する問題意識の低い職場は結局、人を長く働かせることによって、職場の事業を完遂させようとする職場なので、労働法に対する認識が低いです。つまり、たくさんの仕事を労働者に与えて、仕事がうまくいかなかったら『なぜうまくいかないのか』と責めやすい。

 私もパワーハラスメントの事件を受けているのですが、『労働時間に関して完全にホワイトですけど、言葉の暴力がひどいです』というケースはあまり見ないですね。言葉の暴力でご相談にいらっしゃる人は、『労働時間の実態はどうなの?』と聞いてみると、やはり『長時間労働である』という傾向があります

「長時間労働でつらい」「会社を訴えても後々いづらくなるから我慢するしかない」と考えてしまうサラリーマンも多そうだ。

「長時間労働が多く行われている職場は、あまり雰囲気がよくないです。長時間労働だけではなく、あちこちにブラックな部分があるわけですから、何かひとつだけを取り上げたとしても事態を全体的に解決することはなかなか難しいですね

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