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「なんもしない人を貸し出す」サービスが話題。“中の人”に聞く脱力哲学

学び

――なんとなく、少し前に話題になった「レンタル彼氏」みたいな、寂しさを紛らわすために疑似的な恋人や友人のような関係を希望する人が多いのかなって思いましたけど。

森本:たしかに寂しい人もいるかもしれません。でも、それよりかは、いかにして“なんもしない人”を面白く活用するか。エンタメ感覚で依頼がくることのほうが多いですよ。人が集まる場所だと、その場を盛り上げるアクセントみたいな感じで利用されます。

 あとは、1人でもできるけど、誰かがそこにいるだけで気持ちが変わるようなこと。例えば、食事にいったとして「美味しい」って声に出して言える対象がいるのといないのとでは、気持ちの面で違ってくると思います。寂しさを紛らわすというよりかは、一時的にその場の楽しさを共有できる相手を求めてる印象です。

 依頼者の方がよく言うのは、友達だと変に気を遣って疲れるし、赤の他人のようなまったく素性の知らない相手だと怖い。でもTwitterでなんとなく知っている人なら、友達と赤の他人の間くらいに感じられて安心できるそうです。

多いときは「1日4件の依頼」が入ることも

森本さん

――「レンタルなんもしない人」としてのスケジュール感が気になります。

森本:受注するか別にしてDM自体は毎日届いてますよ。週間単位で考えると土日に3件ずつくらい依頼を受けてます。平日はさすがに土日に比べると少ないですが、最低1件はありますかね。

 今年6月に「レンタルなんもしない人」を始めたんですけど、最近はフォロワーが増えたことも影響してか、多いときだと1日4件の依頼を受けることもあります。最近は週で20件くらいはこなしています。

――依頼が多くなるに連れて、断わらざるを得ない場面も増えているのでは?

森本:基本的に来た依頼は断らないスタンスです。ただ、おつかいなど単独行動になるものは、あんまり面白くないことが多いので断っています。

 リマインダー機能として利用されるというのもありました。指定された時刻に「体操服」ってメールしてほしいという依頼があって。朝の6時くらいに起きてメールしました。こっちはこっちでスマホのアラームとリマインダーを使いましたけど(笑)。

 このことをTwitterで呟いたら、拡散されて同じような依頼が何件もきました。さすがに対応しきれないので……今は断っています。あとは、僕自身、既婚者でもあるので不貞行為にあたることもNGです。実際にそういった依頼を断ったこともあります。

――これまでにトラブルみたいなことはありましたか?

森本:今のところ大きなトラブルはないですね。なんというか、DMの文面を見るだけでも人となりは見えますし、少しでも危険な匂いがしてきたらお断りします。

 以前、一人暮らしの男性から家に来て話を聞いてほしいという依頼がありました。でも、Twitterのアカウントをみたら始めたばかりみたいで、過去のツイートもほとんどないしアイコンも設定してない状態で、ちょっと怪しいなと思ったから断りました。依頼者のアカウントで判断することもあります。

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