競争激化でユーザー離れも…キリン氷結「21年売れ続ける秘密」を聞いた
覚悟を持って「完璧」と言い切る
そして2022年のリニューアルで「氷結」は「完璧」と言い切った。しかし、社内では「完璧」と言い切るか否かで議論になった。
「味わいに自信があったし、事前のお客様評価でも高い評価をいただいました。ただ、発売から20年以上も経っているので、無難な味、人工的な味がする、と思われているかつてのユーザーも多いです。『氷結』がこれから成長していくには、かつてユーザーだった人たちに再び購入してもらうことが課題になっていました。
新しくつくった中身に自信がありましたし、飲んでいただいたら絶対に気に入ってもらえると思っていました。飲んでみようと思っていただけるようにするため、覚悟を持って『完璧』と言い切ることにし、まずは飲んでもらうために注意を引くコミュニケーションに踏み切りました」
コアは見失ってはいけない
発売に先立ち商品名を伏せたミステリー缶を100万人規模に配布するサンプリングを実施。缶に「『完璧』を目指したチューハイを飲んでみないか。5.16解禁」と自信を表すメッセージを印字したほど。「氷結」であることばバレないよう、ダイヤカット缶ではなく一般的な缶を使っている。
ミステリー缶を使ったのは、かつてのユーザーにも先入観なく試飲してもらえるようにするため。分かる範囲でかつての「氷結」ユーザーにあえてサンプルを配布したほどだった。
「氷結」が今後も支持されるには何が大切になるのか? 村上氏は「チャレンジし続けること」のほかに「コアを見失わないこと」を挙げる。
「チャレンジし続けること」はこれまでの歴史が物語っているが、「コアを見失わないこと」のコアとは何か? それは、どこよりも果実がみずみずしく、スッキリして飲み飽きないおいしさを軸に味をつくることと、そのことが伝わるパッケージをデザインし消費者コミュニケーションを展開することを指す。パッと華やかな気持ちにし明るくし楽しませる情緒的な価値も見失ってはいけないポイントだという。