喫煙NGな飛行機に「灰皿が置かれている場所」が!その意外な理由とは
えっ、禁煙じゃないの!?機内に灰皿があるワケ
どこもかしこも禁煙化が推進される昨今、愛煙家にとっては、肩身の狭い時代が到来したといえるだろう。この流れに航空会社も抗うことはできず、「機内はすべて禁煙」としている。
かつては世界の航空会社が機内での喫煙を認めていたが、1980年代に入った頃から禁煙化の流れが生まれた。日本では1999年にANAとJALが全面禁煙に踏み切ると、他社もこれに追随し、2000年代初頭までに「機内は禁煙」が常識となっていく。
そして2020年には、国土交通省が飛行機内の「トイレ」の禁煙対象として、従来の紙巻きたばこに加え、加熱式と電子式のたばこが含まれると明記。飛行機内の禁煙がますます徹底された。ところが、こうした風潮にもかかわらず、機内トイレには灰皿が置いてある。これを見ると、たばこを吸うのを黙認しているのかと勘違いする人もいるかもしれない。
灰皿がついていようと、機内トイレは喫煙NG。隠れて喫煙すれば、煙の感知器が作動する。最悪の場合、緊急着陸となり、高い罰金を科されることになるだろう。それなら、機内トイレに灰皿が置かれているのはなぜなのだろうか。
機内トイレに灰皿を置くのは義務だった
その理由は、航空法で「灰皿を置くこと」が定められているからにほかならない。つまり、灰皿を置くことは飛行機の義務なのである。機内で吸う人がいてはならないはずだが、現実的には機内トイレで隠れてたばこを吸う客はゼロではない。
その不届き者たちが「吸い殻を捨てる場所がないから」と、ゴミ箱にポイ捨てでもしたら火事になりかねない。便器に流したとしても、機内トイレはバキューム式で水が出ないため、火が消えるとは限らない。
実際、飛行機の火災の出火場所はトイレが多いという。逃げ場のない飛行機で火災が起きれば大惨事を引き起こすことになる。だから現実問題として、火事は何が何でも避けなければならない。
そこで背に腹は代えられないとばかりに、「たばこを吸ってしまったらここに捨ててほしい……」という意味で灰皿を置いているのである。灰皿を置いているからといって、決してたばこを隠れて吸うのを黙認しているわけではない。あくまでも機内は禁煙。灰皿を見ても勘違いしてはいけないのである。
<TEXT/エアライン研究会>