子どもでも運転できる新幹線が存在するってホント?知れば得する新幹線の雑学
2022年は、日本の鉄道開業150年周年。新幹線も1964年10月に開業してから60年近くが過ぎた。出張に、帰省に、旅行に、欠かすことのできない交通手段だが、よくよく考えてみると、さまざまな謎が次から次へと浮かんでくる。
時速300キロで走る新幹線の窓は、小石が当たってもなぜ割れないのか? 北海道新幹線の先頭車両が長い理由は? そんな新幹線にまつわる謎の数々を解説した『最新版 新幹線に乗るのがおもしろくなる本』(著・レイルウェイ研究会)より、子どもでも運転できる新幹線などを紹介する。
東海道・山陽新幹線の完成型N700系
N700系は、JR東海とJR西日本が共同開発し、東海道・山陽新幹線では6代目になる車両として、2007年7月1日から営業運転を開始した。
当時の最新技術を駆使した車両だけに、多くの特徴をもち、なかでも東海道区間の全線を時速270キロメートル、山陽区間では時速300キロメートルで走行できるスピードが、最大の特徴として注目を集めた。そして、このN700系の導入によって、東京~新大阪間の所要時間は従来よりも5分短縮されたのである。わずか5分の短縮だが、ここには新技術の成果が見てとれる。
その秘密は車体の傾斜角度にある。N700系は、新幹線としては初めて「車体傾斜システム」を導入。これは、先端技術を融合して、10年の歳月をかけて開発されたシステムで、遠心力が緩和される。車両がカーブに差しかかった際に、空気バネが働いてカーブより早めに車体を1度、カーブの内側に傾ける。これによってカーブでの減速が抑えられて、その分スピードがより速くなるのである。
N700系に仕掛けられた技術とは?
この「車体傾斜システム」によって遠心力が緩和され、カーブの外側へ引っぱる力(横G)が抑えられて乗り心地も快適になった。従来ならカーブに差しかかると、乗客は横Gによって大きく左右に体を振られたが、それが小さくなったのだ。
スピードアップという点では、車体の形状も工夫してある。時速300キロメートル走行時の空力性能を高め、かつ客室空間も確保するために、先頭部の長さを700系よりも長い10.7メートルとし、より複雑な凹凸で構成される「エアロ・ダブルウィング形状」となった。
2013年3月には、N700系以降の技術開発成果を取り入れたN700Aがデビュー。このN700Aは、従来型のN700系をベースに、中央締結ブレーキディスクや定速走行装置を導入するなどの改良を加えたもので、2020年には東海道新幹線全列車の最高時速が285キロメートルにアップした。
そして2020年7月に、東海道・山陽新幹線で営業運転を開始した最新車両がN700Sだ。試験運転で最高時速360キロメートルに達し、乗客の快適性の向上にも成功している。