ニオイに敏感な彼の一言に「この人とは無理!」。20代女性の恋の終わり
ふとしたきっかけでケンカが白熱
「私の場合は、ニンニクなどニオイの強いものを食べていないかぎり、昨日の夜に何を食べたのかなんてわかりません。でもYは、メインだけでなく副菜を当てることもあったので、焼肉や餃子だけでなく、少しニオイの強い焼き魚や刺身、香辛野菜なども控えていました」
それでも、Yさんが自分のニオイについてどう思っているかずっと気になっていた平野さんは、何度も「嫌なニオイがしていないか」確認。そのたびに、Yさんに「美海は無臭。ニオイなんてないよ」と言われ、一時的な安堵を繰り返す日々だったとか。
しかしある日、ニオイのことで大ゲンカ。キッカケは、美海さんがおいしそうだと言うニオイを、Yさんが「ありえない。残飯臭」と発言したことでした。そしてケンカは、ヒートアップ。
「この人とは無理!」と冷静に思った
「ついに、Yに『やっぱ、鼻がおかしいんじゃないか? いつも生乾き臭してるし』と言われてしまったのです。思わず口を突いて出た言葉だったようで、向こうは慌てて口を覆っていました」
そのとき平野さんのなかで、これまで我慢してきた数々の出来事が頭の中を駆け巡ったのです。Yさんといっしょにいるとき以外は大好きな焼肉や焼き魚を我慢し、大好きな動物園や水族館、公園デートもできなかった日々…。
「いろいろ思い返すうちに、『この人とは無理!』だと冷静に思ったのです。人間、いつも元気なわけではない。お風呂に入れないときだってあります。それにお互い歳をとったとき、加齢臭や介護臭などニオイがキツくなることもあると、ふと思ったのです」
Yさんは謝り続けたと言いますが、気持ちは変わらず別れをつげた平野さん。「ニオイを気にしながら付き合っていた彼にとっても、私と別れてよかったのではないかと思っています」と振り返っていました。
<TEXT/夏川夏実 イラスト/デザイア恵利>
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