たった300円で乗れる、新幹線が“通勤電車”に変身する不思議な場所とは
上越新幹線の始発駅は東京駅ではない!?
上越新幹線は、1971年に東北新幹線とともに着工され、1982年、東北新幹線にやや遅れて大宮までの区間が開業。その後、1985年に上野へ乗り入れ、1991年には東京まで乗り入れ運行が始まった。新潟と東京を結ぶこの新幹線は、高崎辺りからの通勤利用や、冬季には首都圏からのスキー客の足として、広く親しまれている。
すっかり、東京と新潟方面を結ぶ新幹線として定着している上越新幹線だが、未開通部分があることを知っている人は少ないだろう。
全国新幹線鉄道整備法に基づく上越新幹線は、東京~新潟間を結ぶJR東日本の高速鉄道路線とされている。ところが、現在開通しているのはこのうち、新潟から大宮までの区間で、大宮から東京までは未着工なのである。現在運行している大宮~東京間は、じつは東北新幹線の路線を通って、東北新幹線の駅に乗り入れている状態である。
始発駅はじつは新宿駅となるはずだった!
上越新幹線は、もともと新宿駅が起点となるはずだった。それが、大宮~新潟が開通した時点で、東京(当時は上野駅)~大宮間は、同時に工事が進められていた東北新幹線に、ひとまず乗り入れればいいとして開業を優先させたのだ。そのころは、大宮~新宿間の利用客は少ないというのが国鉄の見解で、工事を急ぐ必要はないと考えられていたわけだ。
こうした計画があったためだろうか、新宿駅には地下に上越新幹線の駅用の空間が確保されているといわれたり、東北新幹線の大宮以南の高架橋脇の空き地は上越新幹線用に確保されている土地だと噂されることがある。
たしかに大宮以南に空き地が点在しているが、これは騒音対策のための緩衝地帯であり、上越新幹線用地ではない。2005年には、大宮~新宿間を地下路線で整備して上越新幹線を全通させる計画がもち上がったが、あくまで一部の政党の案でしかなく、JR東日本が具体的な計画を立てていたわけではない。
東京駅を発着するJR東日本の新幹線は過密ダイヤだ。上越新幹線の本来の計画が新宿発着で、その実現に期待したくなるところだが、果たしてどうなるのだろうか。
<TEXT/レイルウェイ研究会>