5期連続赤字でも役員報酬はアップ「中堅PC周辺機器メーカー」の危うい現状
PCの周辺機器や家電の製造・販売を行うピクセラが、2022年7月8日に業績の下方修正を発表しました。営業利益を従来予想の1億7200万円から、12億3100万円の営業損失。1億1200万円の純利益から、12億6500万円の純損失へと修正しました。
これにより、ピクセラは5期連続の赤字となります。3期連続の赤字でも危険と言われるなか、ある意味でそれを軽々と飛び越えるピクセラの姿は自己破産したオンキヨーを彷彿とさせます。
一人暮らし向けの家電メーカーを買収するも…
ピクセラは1982年6月に堺システム開発として設立されました。1990年代からマッキントッシュ向けの周辺機器を手掛けるようになります。2000年に入って動画編集ソフトやパソコン向けカード型ワンセグ受信機などを開発して販売しています。
2018年5月に一人暮らし向けの家電を製造販売するA-Stageの全株を9億5000万円で取得。子会社化しました。買収直後の2019年9月期は売上高を一時的に伸ばしたものの、その後は縮小の一途を辿っています。
ピクセラはA-Stageを買収する際、「売上高は平成27年3月期の3億円から平成30年3月期には20億円まで急拡大しており、現状でも月間売上高2億円のペースで成長しております」(「株式会社 A-Stage の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」より)と発表しています。利益への言及はしていませんでした。
A-Stageは高値づかみだったか?
この買収によってピクセラはおよそ4000万円ののれんを積んでいます。のれんとは取得した会社の純資産と買収額の差額のこと。買収額が上回った場合、差額をのれんとして固定資産に計上する会計ルールがあります。こののれんは20年を上限として償却する決まりです。
つまり、ピクセラはA-Stageがのれんの償却費を上回る利益を出すことに期待をしていたことになります。しかし、A-Stageは業績がフルで寄与する2019年9月期から1度も利益を出していません。
A-StageはECサイトの構築サービスなどを手掛けるエスキュービズムの完全子会社でした。もしかしたら、エスキュービズム傘下だったころから、A-Stageは赤字だった可能性があります。一時的な赤字ならまだしも、それが恒常化していたのだとしたら、ピクセラの買収は明らかに高値づかみです。取得価額の算出根拠も示されていません。