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「弁護士ドットコム」創業者の新たな挑戦とは?民間から国政、そしてまた民間へ

ビジネス

 交通事故、離婚問題、ネットの誹謗中傷にストーカー被害など、日々の生活の中でトラブルに巻き込まれることは少なくない。そんなさまざまな法律相談事例を今ではネットで手軽に閲覧することができる。その先駆けとなったのが、日本最大級の法律相談ポータルサイトの「弁護士ドットコム」だ

元榮太一郎

「専門家をもっと身近に」を掲げ、法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を生み出した元榮太一郎氏

 同社を創業したのは、現在、参議院議員の元榮太一郎氏。すでに元榮氏は、7月の参議院選挙には出馬しない意向を表明し、今後は経営に専念することを決断している。民間から国政、そして今また民間へ。弁護士業界に新しい風を吹かせた元榮氏が見つめる世界とは?

東西分断ドイツで知った「政治」の大切さ

元榮太一郎

財務大臣政務官、文教科学委員長、参議院副幹事長などの要職を歴任(元榮氏のツイッター@TaichiroMotoeより)

――2014年に弁護士ドットコムが株式上場。2年後の2016年に自民党の公認候補として参議院選挙に立候補し、当選しました。もともと政治の世界には興味があったのでしょうか?

元榮太一郎(以下、元榮):社会を変えたり、世の中にインパクトを届けたいという気持ちは子供のころから持っていました。それが起業を目指した理由にもなっているかもしれません。中学2年生の時、親の転勤の都合でドイツのデュセルドルフに移り住みました。1989年、ベルリンの壁が崩壊し、第二次世界大戦後、東西に分断されていたドイツが統一されたという歴史的な時期でしたね。

 ベルリンの壁をひとつ隔てて、当時の西と東には大きな経済格差がありました。資本主義の繁栄を謳歌した明るい街並みの西ベルリンに比べ、社会主義の東ベルリンは灰色でとても薄暗いイメージを子供ながらに感じ取ったものです。それぞれの街並みを見比べて「政治」の大切さを知り、「いつか自分も政治の世界で活躍したい」と思うようになったのです。

 政治家には「地盤、看板(肩書)、鞄(お金)」が必要だと言われますが、20代の私には本当に何もありませんでした。そのきっかけすら見いだせず、時間ばかりが過ぎていったのです。そして弁護士になり、起業して、株式上場が近づいてきたその時に、「今なら挑戦権くらいは得られるんじゃないか」と思いました。

 過去にも、ビジネスと政治を両立されている方は存在しています。それなら自分にも絶対できるはずだと自身に言い聞かせて、国政にチャレンジしましたね。特段、誰かに声をかけられて出馬したわけではありません。

政治の世界に専念して得たこと

元榮太一郎

――参議院議員に当選し、2020年9月には財務大臣政務官に就任しました。このタイミングで代表取締役会長を退任していますね。

元榮:はい。「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規定」で兼業が禁止されていたんです。2021年10月に財務大臣政務官を退任し、12月にあらためて弁護士ドットコムの代表取締役会長に就任しました。この間、政治の世界に専念したことで、民間の企業経営者では経験できないことをたくさん経験させていただきました。

 一口に政治といっても、それこそ外交や防衛、安全保障、子育て、年金、介護医療に至るまでジャンルは多岐にわたります。日本を俯瞰するようなオールジャンルの知見を積ませてもらったことはビジネスにも必ず役に立つはずです。

 また、これまでお会いしたことがなかったような分野や地域の方々とも意見を交換することができました。そういう方々とお会いするたびに次のビジネスの構想とかが広がっていったのですが、政治家でいるうちは国民のこと、国益のことだけを考えて、100%集中して職務に邁進しました。

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