“ブライダル最大手”の創業会長に聞いた「結婚式場の次はホテル」の理由とは
一生に一度の大切なライフイベントである結婚式。人生の門出を祝う晴れの舞台を演出し、新郎新婦にとって忘れられない思い出を創造する。業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)の創業者であり、現・代表取締役会長の野尻佳孝氏に、前半のインタビューではコロナ初年度の苦労と再浮上に向けた布石について聞いた。
今回の後半ではブライダル業界にイノベーションを起こしたT&Gの揺るぎない人材育成のポリシーと次なる成長を狙うべく注力するホテル事業の勝算に迫る。
会社のあるべき姿やミッションを考えた
インタビュー前半で「コロナ禍でも社員を絶対にリストラしない」と決めたことを野尻氏に聞いたが、ここには、T&Gの掲げるミッションやビジョンにあらためて立ち返り、会社が提供すべき付加価値を見つめ直した背景があった。
「当社には『創造』、『挑戦』、『誠実』、『貢献』という大切にしてきた価値観がありました。コロナ禍ではこの言葉を大事にしながら、理念に即した会社のあるべき姿、今やるべきことについて考えたんです。まさに100本ノックのような感覚で、とにかくアイデアや意見を出し合いました。ときにはぶつかり合いながら、理念を体現するための試行錯誤をしていきました」
平常時に比べて「稼働率は5割以上」
こうしていくうちに、結婚式のオペレーションにおける感染対策の確立や規約の改定など、新たな見直しをかけていくことで、お客様に最大限満足していただける結婚式を模索していった。
「これはホテル事業にも言えることで、コロナ禍で稼働率を高めようと、キャンペーンを打ち出したり、価格訴求を行ったホテルも多いなか、TRUNK(HOTEL)に関しては『TRUNKのブランド価値を下げることはしたくない』という社員の声から、値段を下げずに今まで通り運営する方針を貫いたんです」
一時期にコロナの影響で業績が落ち込んだが、2021年度は婚礼件数も復調し、T&G全体で20億円以上の利益が上がるように。また、運営するTRUNK(HOTEL)についても今年の1月を境に「平常時の稼働率に比べて5割以上は戻ってきた」(野尻氏)そうだ。
外国人観光客の受け入れが解禁され、訪日インバウンドが再開することになれば、さらに追い風になることだろう。