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ブライダル業界の“風雲児”が語る「休みなし」で走り抜けた創業期と今

ビジネス

株式公開を目標に、学生時代の仲間と起業

 大学ではラグビー部に所属し、日本一を経験。その後、新卒で入社したのが住友海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)だった。法人営業部でベンチャー企業のIPO支援に携わり、数多くのベンチャー経営者と関わっていくなかで、将来の起業するための準備をしていったという。

「仕事柄、さまざまな経営者とお会いし、多種多様な事業を見ていく環境に身を置いていたことで、どうやって会社をマネジメントしているのかというのを、見よう見まねで学んでいました。その当時から、『株式公開』という言葉に興味を持っていて、いろいろと調べながら会社経営やビジネスのいろはを勉強していたんです。学生時代とは違い、自分の人生に関わることだったので、必死になって取り組んでいましたね」

 また、野尻氏は社会人になって以来、友人の結婚式の二次会を企画することも多かったそうだ。友人を喜ばせようと、二次会のプロデュースを続けていくうちに、思いのほか評判が立つようになっていく。

 こうした成功体験で手応えをつかみ、ラグビー部の同期や学生時代の後輩を誘って1998年にT&Gを設立。ここから、起業家としての人生が幕を開ける。

「ほぼ休みなし」で走り抜けた創業期

 仲間と資本金2000万円で会社を創業したものの、手堅く実直にビジネスへ取り組むため、渋谷で家賃が一番安いマンションに入居。手狭な一室にメンバーが集まり、ほぼ休みなしで働き続けたという。創業から2~3か月でオフィス移転し、そこからは飛ぶ鳥を落とす勢いで成長の道を歩んでいく。

 当初はウェディングのプロデュース事業から始まり、2001年からは1軒家貸し切りの「ハウスウェディング」という新しいウエディングスタイルを確立

テイクアンドギヴ・ニーズ

テイクアンドギヴ・ニーズが運営する青山迎賓館

 アーカンジェル代官山を皮切りに、麻布迎賓館や青山迎賓館などのゲストハウスを続々とオープンさせていった。既存の決まりきった婚礼スタイルではなく、新郎新婦が自由に結婚式をカスタマイズできるようにしたことで、ブライダル業界に新たな旋風を巻き起こすことに成功。

 2001年にはジャスダック市場、2006年には東証一部に、いずれも当時最年少の若さで上場させた野尻氏は、“ブライダル業界の風雲児”といつしか称されるようになった。

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