もしかしたら日本人は「有給休暇を取りたくない」のかもしれない
彼が気づいたのは「休みを請求しても会社で却下されることはない」「クライエント企業から文句が出たり、お得意先がいなくなるということもない」、むしろ「休みの間の話などで、盛り上がり、周囲とのコミュニケーションにおいても新たな発見があった」とのことでした。
もちろん、この社員の例がすべての働く人に当てはまるとは限りません。会社の規模や職場の雰囲気、クライエントとの関係、仕事での結果の出し方、さまざまな要因がポジティブに働いた結果と言えるでしょう。
有給休暇を取らないのは言い訳?
しかし、この、有給を取りにいったという姿勢こそ、産業医としては評価すべき、と考えさせられました。
目標を定め、そのために必要なことをする。おそらく、彼の普段からの仕事においても、そのような部分が影響しているのだと思います。
世の中には、このように有給休暇を取っている人たちと、取っていない人たちがいます。有給を取らない理由の多くは、
1.いざという時のために取っておく
2.周りの人が取っていない
3.仕事の代わりがいない(人手不足)
などです。
同じ職場なのに、この差はどこからくるのでしょうか?
有給休暇を「取らない人」もいる
この10年間で通算1万人の働く人たちと面談してきた経験から考えた結論として、有給を「とれない」のではなく、有給を「とらない」人たちが存在するのだと思います。
考えてみると、休暇を取るに当たってはいくつかやらねばならないことがあります。
1.その間の仕事を他人にお願いする
→そのためには、仕事内容を他人に委託できるレベルに整理する必要があります。日頃からの周囲とのコミュニケーションも必要でしょう。
2.その間の仕事、多少のことは目をつぶる
→完璧主義ではいけません。人に委ねた時はある程度は許容する気持ちが必要な場合もあります。
3.休み明けに仕事がたまりすぎないようにする
→このために必要なのは日頃からの仕組み作りでしょう。
以上は一般論です。しかし、この数年間、産業医として感じるのは、やはり、有給を取れないと嘆く人の中には、仕事の整理、周囲との関係性、完璧主義すぎなどが、取れない要因になっている人も多数いるということです。