有名企業なのに初任給9万円…新卒女性がいきなり“貧困状態”になった落とし穴
自己負担すべきものが多すぎる
しかし、今野さんは9万円を自由に使えるわけではなかったそう……。
「手元に残った9万円から、スーツを新しく買ったり、お客様に配るためのクリアファイルや飴などを買わなければいけませんでした。1番納得いかなかったのは、部署主催のお客様を招いて行われる飲み会。なんでもかんでも数値目標が設定される環境だったので、1人あたり何人呼ぶかのノルマが決まっていたんですね。
でも、自分のお客様を1人呼ぶごとに2000円払わなければならなかったんです。別に飲み会がしたいわけでもないのに、他人の分も支払わなければいけないことが嫌でした。でも、呼ばないと上司に呼び出され、“目標達成をするためにどうするのつもりなのか”と詰められるんです」
結局、今野さんの手元に残るのは月に2万円程度。そのうち1万円は交通費などの立替金に消え、営業用の携帯代も自己負担だったため、実質、今野さんが使える金額は1万円にも満たなかったそうです。
インセンティブは月800円、ボーナスは10万円
あまりにも少なすぎる給与を見て、今野さんはインセンティブやボーナスを1円でも多くもらえるよう努力することに。
「努力した結果、同期内では常にトップ5に入る成績、部署全体で見てもトップ20に入っていました。しかし、いくつかある月の目標、契約数や継続率などで結果を残しても月に入ってくるインセンティブは1000円以下……。
1000万円一括払いの大型契約を取って商標された月のインセンティブは5000円前後でした。さらに『1年目でこんなにもらえる人はいないよ』と言われ渡されたボーナスの金額は10万円。
基本給のない社歴が長い先輩であれば、もっともらえるそうですが、インセンティブ率の低い1年目の社員は、どんなに大きな契約を取っても大きな金額をもらえることができないと知りました」