シェア8割「アロンアルフア」インパクト重視の“奇抜なCM”戦略の狙い
業界シェア8割を占めるに至った経緯
さらに、テレビCMの制作については「15秒で収まるような接着デモンストレーションを心がけている」と続ける。
「ユニークな発想に立ったテレビCMを作るために、アロンアルフアの特長である『強力』や『瞬間』を常に念頭に置いています。ただ、マーケティングや広告担当だけでは、テレビCMの尺の中で完結する“接着デモンストレーション”のアイデアを発案できないので、研究所の技術者も交えながら議論を繰り返し、企画を詰めていっています。撮影現場にも技術者が同行し、魅力が短時間で伝わるように試行錯誤しながら制作を行っています」
瞬間接着剤という地味な製品とは裏腹に、斬新かつ奇抜なテレビCMで話題化を狙うアロンアルフアの広告戦略は功を奏し、今では業界シェアの8割を占めるまでに成長した。
他方、アロンアルフアは発売開始からずっとテレビCMに注力していたが、テレビCMにかける比重を大幅に縮小した時期もあったという。WebやSNSなどさまざまな媒体が登場した状況下において、テレビCMの役割を改めて考えるようになったのだ。
SNSで大きな話題になったアニメ広告動画
だが、テレビCMを打たなかった時期と重なるミレニアル世代やZ世代といった若年層は、「アロンアルフア=瞬間接着剤」という認識を持っておらず、「ブランド認知されていないのが課題だった」と安藤氏は語る。若年層に向けてアロンアルフアを知ってもらうには、どういうアプローチを行えば響くのか。
アイデアを巡らせたなかで行き着いたのがアニメ広告動画「くっつけ青春プロジェクト」だった。
「若い世代が友人や好意を寄せる人と“くっつきたい気持ち”を応援するというコンセプトを作り、アニメのストーリー仕立てでWeb CMやテレビCMで展開しました。登場人物も『今直築乃(いますぐつくの)』や『九津 剛(くっつつよし)』など、面白おかしいネーミングにし、キャッチーかつポップな描写を意識しました。結果的にはSNSで大きな反響を呼び、若年層への認知度向上につながった施策になりました」