ロッテ佐々木朗希の「審判騒動」から学ぶ、周囲を味方にする3つのスキル
「正しいことを言っているのに、なぜ自分の言い分が取り上げられないのか」「差別だ、不公平だ、理不尽だ、真面目に仕事をしているのになぜだ」。通勤電車の中で眉間にしわを寄せて、そんなことを、つぶやいてはいませんか。
当てはまるビジネスパーソンは、気づかなければなりません。その考えは、周囲の社員から共感を得られていないことを。職場における多くの意思決定は、決して合理的に決められるわけではありません。まして、みなさんの価値観のとおりに、進むものではないのです。
上司や顧客など意思決定のキーパーソンは、自分が信頼・共感していない人の考えは取り入れません。不公平に思えますが、そもそも職場は学校ではないのです。
決して自分は間違っていないはずなのに、なぜか相手が正しいとジャッジされてしまう。理不尽で不公平な職場に翻弄されるあなた。でも、上司を批判して憂さを晴らす前に、周囲がそして上司が、あなたの味方になってくれる。そんなスキルに興味はありませんか? 本記事では、大手人材紹介会社で教育研修部長を務めた経験がある筆者(川野智己)が、議論を呼んだプロ野球の場面から「周囲を味方にするスキル」を紹介したいと思います。
試合中に詰め寄った白井球審
千葉ロッテマリーンズ所属の佐々木朗希投手は、完全試合という偉業を成し遂げた注目の投手です。今、日本で最も注目されている若手アスリートと言っても過言ではないはず。
そんな佐々木投手に向かって、4月24日の試合中に怒りの形相で詰め寄ったのが白井一行球審です。自分のジャッジに対して、マウンド上の20歳の若者が不服そうな態度をしたと感じたのでしょう。数万人の観客の見ている前で行動に出たのです。しかし、その正義感は、無残にも打ち砕かれました。上司である審判長が、後日このような談話を発表したのです。
「球審は、選手に対して、指導、注意するにしても、他の方法があった」。残念ながら、こういった行動は職場においても、よくあることなのです。自分が正義だと確信しても、周囲からの共感を得られなければ、独りよがりな感情論として片づけられてしまう。決して、理屈だけで決められることはありません。上司である審判長も、大切な観客や視聴者から共感を持たれない球審の肩を持つことはしないものです。
共感を得るメカニズムとは何か
人は、どのようなときに、相手に共感を持つのでしょうか。『シンデレラ』という童話を例に説明しましょう。皆さんご存じの通り、継母に虐められ、働かされ続けた不幸な境遇の女の子・シンデレラが主人公です。
主人公が、課題や欠点を抱えている状態から始まり、その後、次々と難題が降りかかります。舞踏会に行かせてもらえないなど、多くの制約を課せられているなかで難題を懸命に解決していきます。解決の過程で、シンデレラは成長していき、最後に王子様と結婚します。継母と義姉妹が悔しそうにする結末に、読者は感情移入して拍手喝さいをします。
このようなプロセスに触れて、読者は、主人公であるシンデレラに共感を持つのです。この物語が長年にわたり世界中で読み手の心を掴んでいるのは、そこに理由があります。