あなたのスマホも覗かれる?デジタル“鑑識”のスゴい技術
また、デジタル・フォレンジックの技術を使えば、遺品として遺されたスマートフォンのロックを解除することも可能で、近年はメインの銀行口座をオンラインにしている人も増えているため、故人のスマートフォンのロックを解除して欲しいという依頼も増えているそうです。
ただ、スマートフォンには多くの個人情報が含まれており、故人が秘密にしていたことを知ってしまい、さらなるトラブルを生むことも少なくないそうで、取り扱いには慎重を期す必要があるでしょう。
増え続けるサイバー犯罪と不足する人材
共同通信が報じた記事によれば、警察庁の情報技術解析部門が2016年の1年間に、犯罪捜査のために都道府県警から解析を依頼されたスマートフォンやパソコンなどのデジタルデータの総容量は、約4.6ペタバイトに上っており、これは10年前に比べて9倍もの数値に跳ね上がったそうです(:参照)。
また、経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2016年の段階で情報セキュリティ人材は現在約28万人で、13万2000人不足しており、2020年には不足数は19万3000人におよぶとの予測を発表しています。
このように、電磁的記録の重要性は増していますが、その対応はまだまだ追いついていないと言えるかもしれません。
デジタル・フォレンジックの技術に驚愕の声が多数
インターネットでは、身近な話題として共感の声が多くあがっていました。
「思わず見入ってしまった」
「自分のHDDは絶対に見てくれるな、と妻と話し合った」
「なんでも履歴が残って、復元されてしまうのだから、恐ろしい社会になったものだ」
現代では、パソコンやスマートフォンを頻繁に利用する人は少なくないので、あらゆる個人情報がデジタルデータとして蓄積されていることは想像に難くありません。
情報化社会が実現してしまった現代、デジタルなものは切っても切れないほど我々の生活に浸透してしまっています。もちろん、犯罪の解決に利用されるのは歓迎ですが、適切に運用されなければ、恐ろしい監視社会になってしまうだけでなく、多くの人を不幸に陥れてしまう可能性があります。
便利になっていく社会の闇の部分が垣間見えたような気がします。
<TEXT/湯浅肇>