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“資金ゼロ”の26歳経営者が思わず涙した「サギだと思ってるから」の一言

ビジネス

「サギだと思ってるから」に救われた

お金

 本連載の第2回で紹介した北海道の三野農園の三野伸治さんにも直接相談しにいきました。ただ、「おー、いい話だね。がんばってー」「そうねえ、俺もちょっと考えてみようか……」といった感じで、イマイチ反応がつかめませんでした。

 お渡しした事業計画書に「応援してくださる場合は……」と口座番号も明記してはいたのですが、「ああ、ダメかなー」と帰りは目の前が真っ暗でした。こちらの勝手な都合ではありますが、切羽詰まった状態で飛行機代をかき集めて飛んでいったぶん、余計に落胆が大きかったのです。

 しかし、2日後に口座を見ると、三野さんから当時の僕の年収以上の金額が振り込まれていたのです。泣きそう、と思う前に涙があふれてきました。

 すぐにお礼の電話をしたのですが、三野さんいわく「俺はもう三浦くんにサギられたと思ってるから」「大丈夫だよ、そのままサギだと思ってるから」と。「期待してる」と言うとプレッシャーになると思ったのでしょう。

 静かに(いい意味で)期待してないよという心遣いは本当に心にしみました。すぐにでも恩返しをしたいと思った三野さんとは、おかげさまでその後いろんなお仕事をさせていただいています。

<TEXT/「菜根たん」代表 三浦大輝>

「菜根たん」代表/株式会社Living Roots代表取締役CEO1995年宮城県生まれ。地元・仙台での東日本大震災体験をきっかけに食の安心・安全を意識するようになり、農業ベンチャーの道へ。現在は青果を中心に卸・小売を手掛けるLiving Rootsで八百屋「菜根たん」(東京・渋谷、根津、埼玉・大宮)を経営。コロナ禍でいち早くフードロス対策を実行し、各メディアで注目を集めた。著書に『渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命』(扶桑社)がある

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