貯金ゼロ、家賃5万円で起業した26歳社長が明かす「運命を変えた大きな出会い」
2019年夏、起業に向け始動
飯島との共同起業を決めたのは、会社創立の3か月ほど前でした。当時の僕たちは、葛飾区の一軒家を借りて一緒に住んでいたのですが、住み始めて1~2か月後に僕が 共同起業をしないかと誘ったところ、OKしてくれたのです。
それからは毎日が起業のための合宿状態。事業内容、ビジョンなどについて夜通し語り合いました。まずビジョンとして掲げることにしたのが、「持続可能な食の生産、 流通、消費を通して豊かな食の未来をつくること」。 「持続可能」と「未来」。これがビジネスを始めるうえで欠かせないキーワードであることを考えると、「基本のキ」といえるかもしれません。
同じく基本といえば、「Living Roots」という社名も「生きる根っこ」という意味です。311以降、それまで疑うことがなかった「ふつう」が根本から覆されました。僕自身そうですが、ライフスタイルの変化から、生きることの「根本」を問い直す時代が始まったと感じている人は少なくないでしょう。
クリアしなければいけない大きなハードル
生きることの「根本」、つまり 人が生きる根っこは「自然」です。「Living Roots」という社名には、物質的豊かさ ばかりが注目されてきた現代に、目には見えない部分に宿るものごとの根本と、そこにある豊かさや価値を見失わずにいきたい、という想いを込めました。
ほかにも飯島とはさまざまなことを話し合いました。起業に向けた合宿的同居は自分としてはとても充実した日々でした。しかしやる気は十分でも、起業するにあたってはクリアしなければいけない大きなハードルがありました。
資金調達です。Living Rootsの資本金やランニングコストはディグイン時代に貯めていたのか、とよく聞かれます。答えはNOです。ディグインでは自分の役員報酬は 15万円ほどで、 あとはバイトで得た月4~5万円で生活をしているという状態で、家賃5万ほどのところに住んでいました。当然、自転車操業で、貯金はゼロだったのです。
では家族からの援助があったのかと思われる方がいるかもしれませんが、それもNOです。家族、特に父親は会社経営者ではありましたが、そこから資金を得るというのは、自分の選択肢としてはあり得ませんでした。