貯金ゼロ、家賃5万円で起業した26歳社長が明かす「運命を変えた大きな出会い」
ずっと一緒にやっていきたい寡黙な生産者
現在もお世話になっている北海道の三野農園さんについては、ディグイン時代より業界関係者などから評判を耳にしていました。三野農園さんは火山性の土壌、羊蹄山からの水、寒暖差のある気候といった自然条件に恵まれた真狩村にあり、東京ドーム5個分の畑で作られるビーツ、リーキネギなどの西洋野菜は多くの料理人から高い評価を受けています。
そこでぜひ取引をさせていただきたいと思ったのですが、すでに多くの取引先を抱えていたので、僕と新規で付き合うメリットはあまりないわけです。それでも当たるだけ当たってみようと思ったもののメールアドレスなど連絡先もわからず、どうアプローチしようかと思案していたところ、市場で段ボールに記載された生産者番号を見つけ、そこから電話番号にたどり着くことができました。
早速、畑から戻ってきそうな時間帯にお電話してみましたが、なかなかつながらず、最終的には家の固定電話に連絡し、三野農園の5代目である伸治さんとお話しできたのです。
おとなしい感じの方で、面識のない電話で初めて話す相手ということもあってか口数も少ない。電話ではやはりもどかしくて、リアルに会って想いを伝えたいと、勢いにまかせて「おうかがいするので会ってください!」とお願いしたのです。その後、東京から訪ねていったら、「ほんとに来たの?」と驚かれましたが、そのかいあって無事取引をさせていただくことになりました。三野さんはLiving Rootsの設立、菜根たんスタートにあたって大きな後押しをしていただいた大恩人です。
共同起業者、飯島慎悟との出会い
2019年10月に法人登記をしたLiving Rootsは、学生時代からの友人である飯島慎悟と共同で立ち上げました。飯島との出会いは2017年12月ごろ。初めての会社ディグインを立ち上げて間もなくのタイミングで、共通の友人が面白い友人をつなげる場を設けてくれて、そこでたまたま向かいの席にいたのが彼だったんです。僕の話に興味をもってくれ、すぐに打ち解けていろいろな話をしました。
当時知り合った同年代の人たちには、前回紹介した篠原祐太くんをはじめ行動力があり能力の高い人たちが多かったのですが、AI、ブロックチェーンなど最先端テクノロジーの研究をしていた飯島も非常に頭のいい人間で、とても刺激を受けました。
その後、プライベートでも遊んだり旅行をしたりする関係になりました。佐渡島にも日帰りで行ったりと、とにかく一緒に遊んでいました。前述のディグインは、自分が学生だったため、すでに食農関係でキャリアのあった方たちと一緒に始めた会社だったのですが、世代の違いもあってかフットワーク、時間感覚など周囲との温度差を感じることもありました。
Living Rootsの設立を考え始めたのは、ディグインでのそうした経験から自分の感覚を迅速に活かせる環境でやってみたいという想いが積もっていたところに、飯島も起業に興味を示したからでした。彼となら、新しいことや自分がやってみたいことに思う存分チャレンジできる! と思ったのです。