ロシア生まれ小原ブラスが明かす“ウクライナ侵攻”への責任感「あ然とした」
ネットで発信をする中で出会ったのが…
ほとんど日本人だけど、見た目は外国人、そしてゲイ。さらに細かいことを無視できない器の小ささもあり、ネットでいろんな発信を続けるなかで、出会ったのが、全く同じロシア生まれで関西育ちの中庭アレクサンドラ。意気投合して始めたのがYouTubeで、チャンネルの名前は「ピロシキーズ」だ。
ピロシキとは、パンにさまざまな具材が入ったロシア料理で、日本でいう「おにぎり」みたいなもの。あまり知られていないが、パン生地の中に具材が入ってたらなんでもピロシキで、肉やじゃが芋、キャベツなど主流のものから、いちごジャムや、林檎なんていう具材もある。ロシア人に言わせると、アンパンはアンコが具材のピロシキだ。
実際に食べてみないと見た目からはどんな具材が入っているピロシキなのかわからない。私たちも見た目は外国人だけど、話してみたら、味わってくれたらその中身にあるのは関西のオバチャンという具材なんだよ。そんな多様性みたいなものがテーマのチャンネルだ。
軍事侵攻は“あり得ないを超えた”行為
さまざまな人間がいて、国籍は違えど、笑ったり悲しんだり同じような感情を持った人間なんだ。皆、友達になれるんだ。文化の違いや、共通点、そんなことを発信していた最中に起きたのが今回の、ウクライナでのロシアによる非人道的な侵略行為だ。
現地の映像を見たとき、僕はあ然とした。それと共に怒りに近い感情が、心に流れ込んだ。私たちがこれまで友好のために活動してきたのは一体なんだったんだろうか。これまでもロシアはクリミアの併合など理解に苦しむ行為を繰り返してきたが、今回はどんな言い分を持ってしても言い逃れのできない“あり得ないを超えた”行為だと思う。プロパガンダに騙されているとはいえ、ロシア国内にこの軍事行動を支持する人がいるということも許せない。
ウクライナに住む友人や知り合いにどんなふうに顔向けしたら良いんだ。僕らは安全圏にいるけれど、彼らの恐怖や怒りは僕らでは到底想像できるものではない。家の前の道を戦車が走っているのを見る人の気持ちを想像してみてほしい。家のマンションの下で誰かが銃撃されたのを見た時の気持ちを。想像できただろうか?
想像ができたのだというのであれば、それは間違いだ。なぜなら現実は想像を超えるから。現地にいる人以外に、その恐怖は分からないと思う。それほどまでの恐怖を私たちの生まれた国の政府は彼らに与えているのだ。