「話し方」がうまくても、人を引きつけられない決定的な理由
話の中心軸となる情報を考えよう
たった1つなんてそんなこと無理じゃないか。途方に暮れていましたが、このセリフは私を覚醒させました。「すべての情報が大事でも、優劣をつけて中心となる情報をシンプルに伝えなければ相手も覚えるのが大変だ」と。
「情報量と相手への伝わり方は“反比例”の関係である」という学びを得たのもこの時でした。情報量を増やせば増やすほど、伝わり方が弱くなる原理原則です。以来、「最も話の中心軸となる情報はどれだろう?」を呪文のように唱え、事前に練ってから話すクセを身につけていきました。
中心軸以外はノイズとしてそぎ落としていったのです。その結果が、研修や講演のスピーカーであり、作家となった今の私の武器になっています。文書を書く場合も同様です。「1文1結論」「1スライド1メッセージ」を原則とし、必ず各文章や各ページで中心軸を設定し、ノイズを排して意識が集中するポイントを浮き彫りにしていくのです。
情報をシンプルにするためのレシピ
「そうは言っても、シンプルかつ簡潔にできないから悩んでいるんです!」というツッコミが飛んできそうですね。言語的センスがある人しか、シンプルなアウトプットはできないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。先ほどお話した「再現性」がある“情報をシンプルにするためのレシピ”があります。
3つのステップで整理していく方法です。第1ステップ「因数分解」、第2ステップ「モレとダブりのチェック」、第3ステップ「中心軸の設定」です。たとえば、私の最新刊の書籍を他の人に強くおすすめするとしましょう。何も整理せずに、感情むき出しで伝えるなら以下のようになります。
【何も考えずに伝える場合】
<長年温めてきた構想がやっと本になりました。毎晩のように2~3か月徹夜続きで何とか書き上げた力作なんです。先が見えずに複雑化している時代に、特に仕事にインプットもアウトプットも簡単にできるようにシンプルな方法を、いつも頭がごちゃごちゃして悩んでいるあなたがスッキリできるように書きました! 本書の内容を使えば仕事で成果が最大になりますよ!>