中国籍の28歳アーティストが明かすNYの衝撃「アイデンティティが崩れた」
大学在学中からリアルなボディペイントで注目を集めたアーティストのチョーヒカルさん(28歳・@soba_ba)。大学卒業後はフリーランスを経て、ニューヨーク州ブルックリンの高等教育機関「プラット・インスティテュート(Pratt Institute)」に留学。現在は現地の会社でグラフィックデザイナーとしても働いている。
今年1月にはエッセイ集『エイリアンは黙らない』(晶文社)を出版。中国籍で日本に生まれたチョーさんは同書で自分を「エイリアン(異邦人、よそ者)」だという。エイリアンであることをネガティブに捉えていた部分が変化した。海外で感じた差別について話した前編に続き、後編のリモートインタビューをお届けする。
酷評されたニューヨークに留学した
――なぜ海外へと生活の拠点を移したのですか?
チョーヒカル:大学を卒業してフリーランスになり、ボディペイントやデザインの仕事をしていたのですが、これを活かして、もっと社会問題に言及するような深いものが作りたかったからですかね。あとは、アホらしいかもですが世界平和が昔からの夢で、そういう大きなプロジェクトにかかわる仕事ができるようになりたいと思って行きました。
――ニューヨークを選んだキッカケは?
チョーヒカル:2018年、留学をする1年前に「アーティスト・イン・レジデンス」という、海外のアーティストたちがアトリエに1か月住んで作品を発表する機会に参加させていただいたのですが、ニューヨークの美術評論家に見ていただいたら、「向いていない」「そのままニューヨーク観光して帰ったほうがいい」ってめちゃくちゃコテンパンに批評されたんです。
海外の生活で「成長できたのかも」
――え、それはショックじゃなかったですか?
チョーヒカル:でも、そこまでボロクソに言われることってめったにないじゃないですか。だから、そういう環境にいたほうが自分も成長できると思ったんですね。結果、ニューヨークはカルチャー的にオープンなところがすごい良かったです。
――実際住んでみてどうですか?
チョーヒカル:平日昼はずっと会社の仕事をしていて、夜とか休日に日本の仕事をしています。仕事が終わったら、ブロードウェイショーを見に行ったり、レストランで外食することもあったりします。日本の生活を全部リセットして、イチから何もかもやらないといけなかったので、海外の生活は自分を客観視するいい機会になりました。ギャーギャーわめくだけじゃなくて、いろいろな要素を噛み砕けるようになったというか。ある種、成長できているのかもしれません。