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アプリでいくら女性と会っても虚しい…28歳ED男子が悩む「恋ができない病」

暮らし

 実際、桃山商事に恋愛相談に来る女性の中にもマッチングアプリの利用者は増えていて、彼女たちも相手と関係を育む時間が少なすぎることに悩んでいます。

 例えば学校や会社のように、長い時間を一緒に過ごす環境でならゆっくり関係を育んでいくことも可能かもしれませんが、アプリや合コンではなかなかそういったことができません。

 出会い方が違えばその後の関係も違うものになっていたかも……というケースもきっとあるはずで、これはアプリという環境が生み出す構造的な問題と言えるかもしれません。

アプリでの出会いは刺激的でサイクルが速い

 では、Aさんはどうしたらよいのでしょうか。彼は地方出身者で、大学も別の地方だったため、現在暮らしている東京に昔からの友人は少ないそうです。

 また仕事も忙しく、時間も不規則のため、コミュニティを作るなどの行動も難しそうだと言います。

「実際、本気で恋人を作りたかったら地方に引っ越すしかないんじゃないかと考えたこともあります。出会いの数自体が少ないため、いい人と出会えたら『次がある』なんて考えないと、地元の友達も言ってました。結婚してる人も多いですし……」

Aさん2

提供:/清田隆之(桃山商事)

 アプリでの出会いは刺激的でサイクルが速く、短期間で結果も見えてきます。人が密集している都会で働く忙しい社会人にとって、これは極めて便利なツールに映ります。

 彼はその構造に疲弊感や不毛さを感じていました。しかし、他の有力な選択肢があるわけでもなく、また、自分なりのパターンを洗練させてしまったため、なかなかスパイラルから抜け出すことができずにいる──。

恋人を作りたいなら地方に引っ越すしかない?

 これはAさんだけの悩みではなく、言うなれば“都市型恋愛の病”とも呼ぶべき問題ではないでしょうか。

 Aさんに関して言えば、「この人と一緒にいたい」というモチベーションが湧き続けてくるような相手とでないと恋愛関係を持続していくことは難しいと感じます。そのためには「おもしろさ」「尊敬」「信頼感」などといった様々な魅力を見出していく必要がありそうです。
 
 そう考えるとやはり、相手の限定的な一面しか見ることのできないマッチングアプリのようなツールからはいったん距離を置き、例えば仕事や活動をともにしたり、趣味などを媒介にしたつながりを育ててみたり、互いの多様な面を見せ合える環境づくりから始めてみるのがよいのではないでしょうか。

 現代に生きる多くの人々が直面しているであろう難しい問題ですが……桃山商事でも引き続き考えていきたいと思います。

<取材・文・図版/清田隆之(桃山商事)>

文筆業。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。2001年、森田雄飛(専務)と桃山商事を結成。恋愛の悩みに耳を傾ける「失恋ホスト」を始め、これまで1000人以上の男女から見聞きした話をコラムやラジオで紹介している。著書に『生き抜くための恋愛相談』(イースト・プレス)『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)、清田隆之名義の著書に『大学1年生の歩き方』(左右社/トミヤマユキコとの共著)がある

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