花畑牧場でも「外国人労働者のトラブル」なぜ相次ぐ、原因と対策は
日本で働く外国人が増えています。厚生労働省によると日本で働く外国人労働者は約172万人と過去最多を更新しました。2021年10月末時点、技能実習生は新型コロナウイルスの影響で約5万人減少したものの、約35万人が働いています。
日本で外国人が働けるフィールドが拡大するなか、企業と外国人労働者との間でトラブルが目立つようになりました。なぜトラブルは起きるのか? 本記事ではハラスメント専門家の立場から企業と外国人労働者の間で起きるトラブルの原因に迫り、ハラスメント対策を意識したダイバーシティ経営について解説します。
花畑牧場とベトナム人従業員が労使トラブル
2022年1月に株式会社花畑牧場(北海道)でベトナム人従業員との間で労使トラブルが発生しました。同社はタレントの田中義剛氏が経営する会社で、生キャラメルで有名。給料から毎月7000円天引きされていた寮の水道光熱費を今年1月に突然1万5000円に値上げされたとして、会社側に抗議をしましたが、対応されなかったため、ベトナム人従業員らがストライキを実施。
会社側は「他の従業員を巻き込んで生産ラインを止めた」などとして、ストライキの中心メンバー4人に計200万円の損害賠償を請求。さらにストライキに参加しなかった従業員を含む40人を3月15日で契約終了を通告しました。ストライキの中心メンバーが労働組合を結成し、「不当な雇い止めだ」として団体交渉を申し入れたことから、交渉の行方が注目されています。
なお花畑牧場側は2月28日付で声明を表明。「不当な雇止めをしていませんし、ましてや誰1人として解雇していません」「17名は期間満了による自主退職希望者」と反論しています。
ベトナム人技能実習生に暴行事件も
岡山市の建設会社でベトナム人技能実習生の男性が約2年にわたり、日本人従業員から暴言や暴行の被害に遭う事件がありました。暴行の様子は動画に残されており、この事件は多くのメディアでも報道されました。
被害に遭っていた男性は福山ユニオンたんぽぽに相談し、働いていた会社と団体交渉を行いました。交渉の中で会社側は事実と認め、謝罪と補償することを明らかにしています。管理団体に対しては保護責任を追求、暴行については警察の捜査も入るなか、出入国在留管理庁は事件を起こした建設会社について技能実習計画の認定を取り消しました。さらにこの建設会社は今後5年間、技能実習の受け入れができなくなります。
例えば技能実習制度の場合、受け入れ先企業にいくつかのメリットがあります。「若くて学ぶ意欲の高い人材を確保できる」「採用コストが抑えられる」などが挙げられます。しかし、一部の日本人労働者は日本での生活全般に知識がない技能実習生や外国人労働者に目を付けて「だます」「嘘を教える」「暴言を吐く」「暴力を振るう」など悪質な行為を働きます。
それが徐々にエスカレートすることに加えて、技能実習の制度や外国人労働者を軽視していることがトラブルに発展する1つの要因です。外国人労働者をあたたかく迎え入れ、大切に育てていれば、まず団体交渉に発展するまでのトラブルは起きないでしょう。