なぜ日本より米国のワクチン接種率は低い?デモも発生、「自然免疫で十分」の声も
医療従事者1000万人以上への接種は?
ワクチン接種率が増えない原因のひとつがこの判決というわけだ。
一方、政府から資金援助を受けている医療機関の医療従事者1000万人以上に対しては、より限定的な接種義務化が実施されている。そのため、ワクチン未接種のために解雇される医療従事者が増え、その上、ワクチン接種した医療従事者がコロナ感染し、病気で欠勤するなど、医療機関の人手不足が発生。ワクチン接種をめぐり、別の問題も出ている。
ちなみに、ドナルド・トランプ前大統領は、前述の判決に対して喜びの声を上げており、「(ワクチン接種義務化は)経済をもっと破壊していただろう」と発言し、ワクチン接種義務化に反対している。筆者は「ワクチン接種義務化が物価高騰の一因になっている」実態について2022年2月11日付の記事で触れている。
各州でワクチン接種義務化が違法に
ワクチン接種義務化に反対しているのは、個人だけではない。ワクチン接種義務化に反対している州もある。フロリダ州、テキサス州、アリゾナ州、ユタ州、アイダホ州では、共和党の州知事のため、民主党バイデン大統領の現政権の政策に反発し、州民へ「ワクチン接種義務化はしない」という姿勢を続けている。
ネバダ州ではマスク着用義務を解除するなど、民主党の州知事の州も共和党の州に続くような動向が見られ始めている。一方、州知事が民主党のカリフォルニア州では、市職員などへのワクチン義務化が厳しく、ワクチン接種を積極的に推奨している。ワクチンパスポートを実施しているため、ワクチン未接種の住民はレストランや映画館などには入れない。
カリフォルニア州の医療従事者にもワクチン接種義務化が実施され、ワクチン未接種者は解雇されている。そのためにカリフォルニア州では人手不足が起こっており、その対策としてワクチン接種した医療従事者でコロナ陽性でも無症状ならば勤務してもよいことになっている。
つまり、カリフォルニア州では、ワクチン未接種の(健康である)医療従事者を解雇しておきながら、コロナ陽性の無症状である医療従事者を働かせているのだ。この「ワクチン接種者vs.ワクチン未接種者の分断」は、社会はもとより、さまざまな職場で今後も続くだろう。
ワクチン接種義務化における米国の分断についても、筆者は2021年8月19日付の記事でも取材している。