台湾企業から18億円の配当がある「新潟のせんべい会社」の正体。ゆるく見えて素はマジメ
品質重視の経営姿勢が仇となる
しかし、この「品質重視」の経営姿勢が、徐々に悪影響を及ぼし始めます。
「国産米の美味しさを損ないたくない。だから濃い味付けにはしない」
「品質が高ければ、黙っていても売れる」
頑固とも言える品質重視姿勢により、社内にいくつか「制約」が生まれます。結果、似たり寄ったりの商品ラインナップ、手薄な広告宣伝など、商品・販売促進両面で問題が発生します。顧客層が中高年だけに固定化し、若年層に広がらないのです。
「若い世代に受け入れられる商品を作らなければ将来がない」
代表取締役社長の槇春夫氏は危機感を抱きます。
活用したのは女性社員…だけではない
そこで、活用したのが「女性」でした。女性社員だけではありません。「女子中学生」を活用したのです。2010年、社長主導で開始したのは、品川女子学院中等部との「共同商品開発」プロジェクト。同社商品「ふわっと」をリニューアルする、というものです。
女子中学生たちに「制約」はありませんでした。
「ペッパー味の濃いのが食べたい! 普通の3倍入れてみよう」
「商品名も『ふわっと』より『ペパっと』がいいんじゃない?」
「ひと口サイズじゃないなんてありえない」
これまでの岩塚製菓では、絶対通らなかった企画が考えられた結果、トリプルリッチなペッパー味「ペパっと」、トマトとバジルを組み合わせた「トマっとバジっと」、ハニーアップル味にシナモンパウダー「乙女ふわっと」など、5つが最終選考に残りました。
最優秀企画を選んだものの、最終的には5つすべてを商品化することに。記者発表会4日後に発生した東日本大震災の影響をうけたにもかかわらず、定番商品を上回る売上となりました。