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カリスマヘッドハンターが教える「社員がすぐ辞める会社に共通する特徴」

学び

会社として将来のキャリアパスを示してあげる

 その理由は、MBO評価が形骸化したことで、マネジメントと社員の対話の場が、半年や1年に1回しか設けられなくなったことにあると考えています。昨今のビジネス環境の変化は早く、とくにベンチャー企業などでは、半年前に立てた目標と、現在の会社の状況が乖離しているのが普通です。そうすると、MBO評価で立てた目標が有形無実になってしまうのです。

高本尊通

高本尊通氏

 最近は、形だけの人事評価制度をなくし、各社が独自にマネジメントと社員の対話の場を増やしているという印象です。人材が辞めにくいと私が感じた会社では、月に一度はそうした対話の場を設けていました。会社として社員と向き合おうとする姿勢が、そこから見て取ることができました。

 社員との対話の仕方にもポイントがあります。それは、相手から話をさせるということです。どんな不満を抱えているのか、自分の将来のキャリアをどのように考えているのか――。そのようなことを話してもらった上で、マネジメント側から、会社として将来のキャリアパスを示してあげるという流れで進めます。

 対話をするときには、マネジメントも社員も、互いに気持ちをさらけだすことが必要です。マネジメントが社員と向き合い、会社の理念と個人のキャリアパスがつながっているということを示してあげれば、やりがいを生み、人が辞めにくい会社へと育っていくことでしょう。

社員がすぐ辞める会社にならないために

 逆に、社員の離職率が高い会社にも特徴があります。これまで説明したことと真逆を考えればいいのですが、やはり社員と向き合っていない会社は、人の心が離れてしまいます。

 そのことは、人事の姿勢に顕著に現れます。特に人事が会社批判をしているような状況は、大変危険だと思います。我々ヘッドハンターとしても、そうした会社に人を紹介するのは、躊躇してしまいます。

 昨今の採用難から、「採用こそが最重要課題」と言う会社も少なくありませんが、9割近くの会社が、言葉が行動に現れていません。たとえば、こちらから人材を紹介しても、1週間以上返事がなかったり、あるいは過去の人事評価制度を漫然と使い続けていたり……。そうした会社は、人材に対する熱量に欠けていると言わざるを得ません。熱量がない会社には志望者が集まりませんから、経営陣から意識して状況を変えていく必要があると思います

 また、人件費のコストカットをした結果、社員の心が離れることにも注意が必要です。一時期は、単純に社員の数や勤務時間を減らすことでコストカットが行われていましたが、最近は、議事録の作成などの機械化できる作業は社員から手を離すなど、本質的なコストカットに取り組む会社が増えてきているのを感じます。このように、社員に本来のパフォーマンスを発揮させる仕組みを作ることも、社員の離職率を下げるためには欠かせません。

<構成/小林義祟>

1972年3月7日生まれ。大学卒業後、パソナに入社。大手特別法人営業グループ責任者を経て、企画、アライアンス、業務改革担当として活躍後、2004年、株式会社プロフェッショナルバンク設立に参画。これまで約7000人あまりのキャリアに携わり、特に30代、40代の転職市場の現場に長く携わってきた。2012年にビズリーチ社の「日本ヘッドハンター大賞」、同年から2年連続で「リクナビNEXT AWARDMVA」を受賞するなどし、16年にはビズリーチ社によるヘッドハンターランキングで約1500人中第1位を獲得している

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