固めた決意「やっぱり辛かった」

　その後、春奈さんと先輩は同じプロジェクトを任されることになり、2人が会う機会は何かと増えることに。

「お互い仕事が忙しくなって、逆に僕と春奈は会うことが少なくなって。LINEはしていたんですけど春奈から報告が来るわけですよ。先輩が仕事終わりにごちそうしてくれたとかって。嬉しそうに。だから思いきって聞いたんです。先輩のことが好きかって。そうしたら案の定好きだと返ってきて。分かってはいたけど、やっぱり辛かったですね」

　そんな状況の中、俊介さんはある決意を固めたそうです。

「先輩に春奈をどう思ってるか聞いて、春奈に惹かれ始めているなら身をひこうと思いました。先輩にはお世話にもなってますし、春奈の幸せが1番だと思っていたので。何より先輩に敵わないですからね、僕は」

　そう笑顔で話してくれた俊介さんでしたが、その表情はどこか悲しそうでした。諦める覚悟はできていても、先輩の反応は意外なものだったと言います。

罪な男ってこういうこと？

「プロジェクトで忙しそうだったので、LINEで聞いたんです。そしたら春奈のことは本当に後輩としてかわいがっているだけで、恋愛感情はないって返ってきました。その後、僕が春奈のこと好きだと話すと、今まで気づいてあげられなくてごめんって謝ってくれて」

　先輩には春奈さんへの気持ちがないと聞き、自分が頑張れば春奈さんを振り向かせられるかもしれないと希望をもった一方で、俊介さんはこんなことも思ったと言います。

「先輩は春奈が先輩に好意もっていることにまるで気づいてないんです。自覚なしに女の子を惚れさせちゃうんです、あの人は。ああいうのを罪な男って言うんでしょうね。とか言いながら僕も先輩嫌いになれないので」

　そう苦笑いしながら話してくれた俊介さん。この出来事以降自分磨きに力を入れているそうです。

＜TEXT／ダイフク＞