岸田内閣は親中派なのか?発言撤回が目立つ首相が外交でも難しい舵取り
米中どちらも重視していることが窺える
四方氏は1986年に外務省に入省。北米局や中東アフリカ局など、多くの部署を経験しています。なかでも注目すべきキャリアが、2018年12月から約7か月間にわたる在中華人民共和国日本国大使館特命全権公使と2019年7月から約11か月にわたる在アメリカ合衆国日本国大使館公使です。
米中どちらの公使を務めた人物を内閣広報官に起用していることからも、岸田外交は米中どちらも重視していることが窺えます。
安倍内閣ではほとんど中国と接触することはありませんでした。また、菅内閣でも安倍外交路線を踏襲しています。
しかし、ずっと中国と没交渉の状態でいることは非現実的です。国際的にも、日本にとっても中国は無視できるような存在ではありません。経済成長が著しく、少なくても今後20年間は世界各国が中国をなんらかの形で意識せざるをえません。
岸田内閣には難しい舵取りが求められる
また、日本は拉致問題やミサイルなどの北朝鮮に関わる問題で、中国と連携を取る必要が出てくる可能性は否定できません。そのときに中国との窓口がなければ何も始められません。何かあったときのためにも、中国との窓口を準備しておかなければならないのです。
これは岸田内閣がアメリカを軽視しているということではありません。また、中国国内で起きている人権侵害や弾圧など国際的な非難を許容することでもありません。
岸田内閣は、安倍・菅両内閣で冷え切った日中関係を温め直すという役割を課せられているのです。岸田首相にはアメリカとの関係を深めながらも隣国・中国との関係を修復するという難しい舵取りが求められているのです。
政権発足から岸田首相は発言を撤回したり、修正したりと軸がブレている部分が目立ちました。外交において、打ち出した政策を即時に撤回するような政治家は信用を失います。世界情勢が混迷するなか、岸田外交に注目が集まります。
<TEXT/フリーランスカメラマン 小川裕夫(@ogawahiro)>