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30代過ぎて「好きな仕事・やりたい仕事」を追い求める人が直面する危機

学び

違う組織に移る「転職」は最後の手段

職場

 そこで、私は彼に「どうすればリスクを回避できるかまで提案してはどうか」とアドバイスしました。「ダメ出しする人」ではなく、「助けてくれる仲間」という関係を築くように勧めたのです。これなら、彼の資質とも合っています。すると、クライアントがびっくりするくらい喜んでくれたそうです。

 何より、彼自身がワクワクし、さらなる探求心に火がつきました。「ルール通りにできなければ、罰を与える。これだけで動かせるほど、人の心理は甘くない」。そのことに改めて気づかされたそうです。その経験から、彼は大学院で心理学を学び、今ではビジネスリスクと組織心理学を合わせたアプローチの開発に没頭しています。

 得意なことであれば、実は「好き」を見つけることは難しくありません。少し視点を変えるだけでいいのです。「仕事が楽しくない」というと、安易に転職を考える方が多いですが、違う組織に移るのは最後の手段。コストとリスクが高い手段なのです。まずは、手近な得意から好きを探すことをお勧めします。

<TEXT/人事戦略コンサルタント 松本利明>

人事・戦略コンサルタント。外資系や日系の大手企業から中堅企業まで24年間、600社以上の人事や働き方改革に従事。『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)はベストセラー

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