安易な「ドイツ礼賛」は危険!“労働生産性が低い”日本はヨーロッパに学ぶべきか
メディアのアップデートも急務か
積極的な財政出動の必要性がわかったが、衆議院選挙の結果を受け、財政出動は今後どのように変化するのか。藤井氏は「何も変わっていません。自民党政権は一貫して消費税減税もPB凍結も本気でやろうとしていません」と指摘する。
「今私たちにできることは、先述したような消費税廃止、投資拡大に批判的な緊縮財政を支持するメディア、学者、政治家を批判することです。加えて、積極財政派を支持する政党や政治家を支持することが、豊かな生活を送ることに繋がります」
ただ、先ほど日本人の美徳として勤勉さ、真面目さを挙げたが、これらは「お上に従う」「我慢すればいずれ報われる」という態度を導き、現状維持路線を辿ることになりかねない。
「今日本経済は危機的状況を迎えています。真面目さ、勤勉さは大切ですが、違和感を覚えたことには空気を読まずに堂々と声を上げる勇気と正義感を持つしかありません。その点において、政治家や学者の不適切な言動に言及せず、政治経済に国民の関心を向けさせないメディアの責任は重い。国民の意識だけでなくメディアのアップデートも急務です」
2022年には参議院選挙が控えている。どの政党が、どの候補者が日本を良くするための政策を講じてくれるのか、今からチェックしていきたい。
<取材・文/望月悠木>
【藤井聡】
京都大学大学院工学研究科教授。1968年生まれ、京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。2018年より表現者クライテリオン編集長