反ワクチン“陰謀論”に走る人の心理とは?女装のオカルト研究家に聞く
陰謀論者は「自己責任」と断じてよいのか?
――ただ、そこでお金を出して幸せを感じてしまう人もいて、周りが止めるのはどうかという考え方もあります。
雨宮:確かにお金を払うことに関しては私たちには咎めようもないのですが、もしも本人がその行動や組織に属したことを後悔しても、「自己責任」で片付けられてしまうのが問題ではないかと思います。
その組織の雰囲気としてそうなら、完全にその人の責任とまでは言えないんじゃないかと。普通の倫理観を持っていたら抗えるはずのことを、集団が健全でないからかき消されてしまって、誤魔化されるところがあって。
――そのような人たちにもこの本を読んでもらいたいですね。
雨宮:染まりきってしまった人を引き戻すのは難しいんです。プロのカウンセラーでも難しいはずで、社会全体の課題ではあるんですよね。
ライターが記事をたくさん書いて、研究者が本を出したからといって、ハマった人がそこから離れて目を醒ますのか、そんな甘い話ではないと思います。皆さまには、これから陰謀論に“罹らないために”、ワクチンのようにぜひこの本を手にとっていただきたいです。
<取材・構成/黒猫ドラネコ>
【雨宮純】
オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家。思春期にカルト宗教による事件が多発したことから、新宗教に関心を持つ。オカルト検証好きが高じて(ノストラダムスの大予言が外れたため懐疑派に転向)、理工系大学院を修了し現在に至る。週末はメイクをする女装男子。著書に『あなたを陰謀論者にする言葉』
Twitter:@caffelover
note:「大仏」