bizSPA!

衆院選の“真の勝者”は誰か?維新の会躍進だけじゃない、大きな変化も

ビジネス

与野党が打ち出した「分配政策」

枝野幸男代表

枝野幸男代表は野党連合を呼びかけて全国を駆け回った

 ここまで、今回の衆院選をめぐる各党の置かれた状況を説明してきました。本来、選挙は政権与党がきちんと成果を出せたのか否かを有権者が判断するものです。また、今後はどんな政策を優先して取り組むのかといったロードマップを示す機会でもあります。

 しかし、今回は与野党がぶつかり合うような大きな争点は見当たりませんでした。そのため、政策的な議論が活発にならず、政権与党の信任・不信任を問うような選挙に終始しました。

 それでも与野党ともに打ち出していたのが、分配という経済政策です。岸田総裁は自民党総裁選のときから「新しい資本主義」を掲げ、成長の果実を分配すると宣言していました。岸田総裁の分配政策は次第にトーンダウンしていきますが、立憲民主党も言葉は異なるものの目指す方向性は分配だったことから、自民党との差別化を打ち出し難くなっていました。

あえて勝敗をつけるなら勝者は…

 そうしたなか、日本維新の会だけが分配政策に異を唱え、改革を主張していました。日本維新の会は大阪を中心に支持を広げてきました。今回の衆院選では小選挙区で擁立した候補者全員が当選。大阪の支持をさらに盤石にしたほか、比例でも多くの票を集めて全国で躍進しました。日本維新の会は小選挙区と比例で41議席を獲得するなど、改選前から議席数を3倍以上に増やしています。

 自民党も立憲民主党も議席を減らしたので痛み分けといった結果になりましたが、あえて勝敗をつけるなら日本維新の会が勝者といえる結果です

 こうした結果を見ると、今回の衆院選で政治的な変化は見られないと感じるかもしれません。しかし、日本維新の会は政権に加わっていないながらも憲法改正には前向きで、改憲勢力と位置づけられています。

おすすめ記事