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売上1兆円マルハン社長「従来のパチンコをぶっ潰した」。業界を変える闘いを語る

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意見に賛同する者はなかなか現れず…

 しかし、釘師たちは「パチンコは客との騙し合い。地元の人間をアルバイトで雇ったら、客と癒着して不正をするのでダメだ」俺たち抜きで何ができるのか」と全く取り合わず、入社から2年が経っても「パチンコはサービス業」という韓の意見に賛同する者は誰もいなかった

「だったら自分で検証してみよう」。韓は父親に掛け合い、ゲームセンターやボウリングも併設していた静岡の中規模店・草薙アピア店を新たなモデル店にすべく、任せてもらうことにした。

「私の理想に共感してくれる新たな人材をイチから集めました。大学の野球部時代のつても使って、なんとか社員を5人採用しましたが、それだけでは店は回せません。しかし、当時はパチンコ店のアルバイトなんて一般の人は誰も応募してくれなかった。そこで施設全体のアルバイトを募集する派遣会社を別に作って、『パチンコなら時給が高いですよ』と声をかけ、なんとかスタートを切ることができました」

学生の親から怒鳴りこまれたことも

草薙アピア店

草薙アピア店では大胆な改革を行った

 アルバイトも事前に1か月の研修を行い、92年4月に草薙アピア店をリニューアル。他のサービス業と同じように「いらっしゃいませ」とお客を出迎え、常連客は名前で呼び、積極的にコミュニケーションを取るなど、既存のパチンコ店ではありえなかった新たなスタイルを打ち出した。当初はお客も戸惑っていたが、次第に受け入れられて人気店となった。

「でも、30店舗のうちのたった1店舗です。まだ、すべてを変えられたわけではありませんでした」

 モデル店を拡大すべく、翌93年から新卒採用にも乗り出した。しかし、当初は900万円近くかけて求人誌に広告を載せ、ホテルに50人が入れる採用会場を借りても、たった4、5人しか集まらなかった。なんとか入社を決めてもらっても、学生の親から「パチンコなんてふざけるな! 責任者を出せ」と怒鳴り込まれたこともあった。

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