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連日話題の自民党総裁選。今さら聞けない総裁選の疑問をイチから解説

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候補者の4人はそれぞれどんな人?

自民党総裁選候補

左上から時計回りで、河野太郎候補、岸田文雄候補、高市早苗候補、野田聖子候補(画像は各候補の公式ツイッターより)

 今回の総裁選では、河野太郎候補・岸田文雄候補・高市早苗候補・野田聖子候補(届出順)の4人が立候補しました

 河野候補は防衛大臣・外務大臣などを歴任しましたが、菅内閣では行政改革担当大臣を務め「脱ハンコ」を提唱。2021年からは新型コロナウイルスのワクチン接種推進担当大臣を務めました。それらの実績を強調するとともに、ツイッターなどを使いこなしている点などが、若年層からの支持が高く、ゆえに自民党の古い体質を変えてくれるとの期待が高まっています

 岸田候補は自身の派閥を率いているため、岸田派の議員は岸田候補に票を投じることでしょう。岸田候補は外務大臣・防衛大臣などを歴任し、安定感のある政治家です。一方、重鎮ゆえに一般世間から遠い存在と受け止められがちでした。今回の総裁選で岸田候補は、令和版目安箱ともいえる「岸田BOX」を開設。広く国民から意見を求めて、それをネットで回答するなど身近な政治家であることをPR。ほかにも再分配の強化を訴えています。

 高市候補は無派閥ですが、いち早く安倍晋三元首相が高市候補の支持を表明したことで保守層からの人気が高まっています。高市候補は第2次安倍内閣で総務大臣を務めました。総務大臣時代には“アベノミクス”を地方に波及させる“ローカルアベノミクス”を提唱。今回の総裁選出馬会見でも地方経済の立て直しを強調しています。また、サイバー攻撃への対処にも言及しています。

 最終日に駆け込みで立候補を表明した野田候補は、旧・郵政大臣や総務大臣などを務めました。野田候補は不妊治療の経験者で、息子さんは障害者でもあるため、少子化対策や女性の社会進出、障害者支援といった政策の充実を訴えています。また、郵政大臣の経験から、災害時に郵便局・農協などのネットワークを活用することも提言しています。

広く支持を集めるため八方美人に

 今回の自民党総裁選は、4候補が乱立することになりました。自民党内には政策や思想を同じくする派閥と呼ばれる集団がいくつかあります。岸田派が岸田候補を支持するように、出身派閥から立候補した議員を支持するのが一般的でした。

 しかし、今回は違います。河野候補は麻生派ですが、麻生派は岸田・河野両候補の支持を表明。実質的に自主投票を決めています。高市・野田両候補は無派閥のため、もとから広く支持を集めなければなりません。

 また、麻生派のほかにも細田派・竹下派・二階派・石原派が自主投票を決め、無派閥の高市・野田候補のみならず全候補が広く支持を集める必要性が生まれました。

 広く支持を得るには、尖った政策は歓迎されません。そのため、各候補とも以前の発言や独自に取り組んでいた政策を封印。出馬表明の記者会見では触れないようにし、記者から質問されても歯に物が挟まったような物言いになっています。議員票を1票でも多く得るには、八方美人にならざるを得ないのです。

 こうした背景もあって総裁選は混戦模様となり、上位2名による決選投票が濃厚と見られています。

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