男の育休に会社からの嫌がらせ。“否定派上司”の本音と、被害に遭わない方法
育休取得に否定派の上司や経営者も
今の日本企業では、「パタハラの認知度が低い」「男性の育休取得がまだ少ない」ため、自覚なくパタハラが発生してしまう可能性があります。また、本音では育休を取得してほしくないと思う上司や経営者、パタハラの認識がない人が職場にいると筆者は考えます。実際に「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認証を受けた企業で働く男性が、パタハラ被害に遭ったとして裁判に発展した事件もあります。
2019年にスポーツ用品大手のアシックスの男性社員が、育休取得直後の配置転換は不当でパタハラにあたると、精神的苦痛への慰謝料440万円を求め、東京地裁に同社を提訴しました。男性は当時、東京都内でプロモーション業務などを担当。約1年間の育児休業を取得して、職場復帰直後に茨城県の物流センターへの出向が言い渡されました。
育休取得前の業務とは全く違う業務を命じられたのです。出向期間が解かれ、東京都内のオフィスに戻ることになりましたが、業務命令はなくなり、再び育休取得前の本来の業務とは違う社則の英訳作業などの業務をしていたとのことです。
その後、裁判が進み、2021年に男性が所属する「首都圏青年ユニオン」がアシックスと和解したことを明らかにしました。アシックスは2007年に「子育てサポート推進企業」として厚生労働大臣認定の「くるみんマーク」を取得していたのに、この有様です。
安心して育休を取得するために
育休を取得しやすくなることは、とても良いことですが、職場でパタハラと呼ばれてしまうことや、被害に遭うことも起こり得るため、1人ひとりが正しい知識を身につけて未然に防ぐ意識を持つことが大切です。
パタハラに該当する発言、NG行為がありますので、実際にどのようなケースがパタハラに該当するのか見ていきましょう。
「育休取得したら、今のポジションにはもう戻れないぞ」「●●さんのせいで仕事が増えた」「男性が育休って、奥さんはなにしているの?」
なかには「これもダメなの?」と思う発言もあるかもしれませんが、会社としては育休取得を認めていても、育休を取得させないように妨害し、こういった脅すような発言をすることはNGです。