三菱UFJ銀行を辞めたYouTuberが教える、資産形成のコツ。NISA、iDeCoの違いとは
意外と知らない「iDeCo」のメリット
――「iDeCo」はどうですか? ほかの年金制度との違いやメリットについても知りたいです。
小林:iDeCoは、「個人型確定拠出年金」の愛称ですが、ようするに自分が出した掛金を、自ら運用し、老後資金を作る年金制度だと思えばOKです。日本の年金制度は大きく分けて3階建てになっており、1階は国民年金や厚生年金などの国が用意する公的年金、2階は会社が用意する企業年金で、企業型確定拠出年金(企業型DC)などがあります。そして3階が自分で用意する個人年金で、個人型確定拠出年金であるiDeCoもここに含まれます。
そんなiDeCoには、2つの税制メリットがあります。1つ目は運用で得た利益に税金がかからない点で、これはNISAと同じです。2つ目は、iDeCoの掛金は全額、所得控除になる点で、所得税や住民税が安くなります。
このようにiDeCoはNISAよりも節税のメリットが大きいですが、注意点もあります。たとえば、年金という性質上、60歳まで引き出すことはできず、また受け取るときには税金がかかってしまうので、制度をよく理解してからはじめるようにしてください。
ほかの年金制度と「iDeCo」の違いは?
――個人年金という点では「国民年金基金」などと同じなのに、iDeCoに人気が集中しているのはどうしてですか?
小林:そもそも国民年金基金に加入できるのは自営業者などに限られ、サラリーマンの方などは選択肢に入らない理由が大きいかと思います。また、将来の年金が当てにならないからこそ、老後に備えて自分で投資をしてお金を増やす風潮があるなかで、iDeCoは運用商品を割と自由に選ぶこともできるので、利用する人が増えているのではないでしょうか。
たとえば、つみたてNISAでもよく選ばれている、「米国株式のインデックスファンド」や「全世界株式のインデックスファンド」などがiDeCoでも人気ですね。インデックスは日本語に訳すと指数と言いますが、ここではいろんな会社の株価の平均点だと思ってください。
米国株式のインデックスファンドを1つ買うだけで、数百から数千もの米国企業の株式の平均点に投資できることになるため、米国株式市場の成長の恩恵を受けることができます。つみたてNISAとiDeCo、どちらを優先して利用するかは投資の目的などにもよりますが、若い世代の場合には、仮にiDeCoを始めた後に子どもが生まれて、教育資金や住宅購入資金などでお金が必要になったとしても、iDeCoで運用しているお金を途中解約することはできない点はじゅうぶん注意が必要です。
つみたてNISAであれば、このようなライフステージの変化による支出にも対応できる上に、制度自体も比較的シンプルで分かりやすいので、迷ったらまずはつみたてNISAから始めてみることをおすすめします。