“イーロン砲”でビットコインが急降下?投資のプロに聞く、暗号資産のカラクリ
今年の暗号資産市場はこれからどうなる?
なるほどとてもよくわかりました。ところで「今年(2021年)は暗号資産の当たり年らしい」という噂を聞いて投資を始めたのですが、その根拠はなんだったのでしょうか。
「その大きな要因に新型コロナウィルスの影響があります。昨年、日本でも定額給付金が支給されましたが、アメリカでは、日本よりも手厚く給付金が支給されました。そうした際に、日本より投資への意識が高いアメリカではその支援金を投資に用います。そのため、暗号資産に限らず投資市場が非常に盛り上がったわけです。その様子を見て、日本でも暗号資産含む投資への注目が集まり、『今年は暗号資産の当たり年らしい』という言説が生まれたのではないでしょうか」
では、今年の暗号資産市場はこれからどうなるのでしょうか。
「正直、少し注意が必要だと感じています。1つは人々を盛り上げるストーリーが必ずしも順風満帆に進んでいるわけではないからです。ストーリーというのは現在得られる情報から『これから暗号資産の価値が上がっていくのではないか』という未来が想像できるか否かということです」
暗号資産の価値は上がっていくのか
「そのひとつにイーロン・マスクの件がありますが、そのほかにもビットコイン投資に機関投資家が参入するのではないか、というニュースもありました。しかし、こちらもヨーロッパや中国で暗号資産投資へ厳しい目が向けられるようになり、参入を見送る動きが出ています。
また、ワクチン接種が進んでいることから、アメリカでの新型コロナウィルス感染拡大の副産物としての給付金バブルが終わりを告げようとしています。あくまで個人的な意見ですが特に9月以降が怪しいのではないかと睨んでいるので、しばらく市場の動向を注意しておく必要を感じています」
まだ生まれて間もない暗号資産市場。その動向はまだまだ不安定で、投資初心者にはおすすめしづらい投資環境であると言わざるを得ないかもしれません。しかし、斉藤さんのお話を聞いていて、それ以上にその行く末を共にも守りたい気持ちも高まりました。とはいえ筆者のように多額の金を1つの銘柄に突っ込むのは気をつけて……。
<取材・文/日和下駄・bizSPA!投資部>
【斎藤 岳】
株式会社クリプタクト代表取締役 Co-CEO。2007年東京大学大学院卒業後、ゴールドマン・サックス証券入社。不動産投資から船舶投資まで様々な投資に携わり、法的整理含めた事業再生の案件も手掛ける。2010年5月、ゴールドマン・サックス・インベストメント・パートナーズへ異動。最大800億のポートフォリオの投資・運用を行う。’19年2月起業し、現職。’21年JCBA税制検討部会長に就任