「自分が軽率な行動をしなければ」と後悔

　どちらが先にウイルスを持っていたかはわかりませんが、有希さんからはLINEで謝られました。しかし、淳平さんはやり場のない気持ちになったそうです。

「自分が情けなくなりました。あのとき気分に流されて『会う』という選択をしなければよかった。今回は結膜炎でしたが、もしコロナだったら……と想像するとゾッとします。感染症にかかったのは人妻と不倫密会したのが原因とは誰にも言えませんし。社長という立場上、周りにバレるわけにはいかないですから」

　真っ赤な目をメガネで隠しながら話してくれた淳平さんは、現在も治療を続けているそうです。

　ちなみに彼が社長を務めるのは、「直接面会の不要なビデオ商談システム」を開発するDX（デジタルトランスフォーメーション）推進企業。人と簡単に今回の病気の話をできない分、自分自身の経験をバネにして、コロナ禍での新しいビジネスにさらに前向きになったそうです。

マッチングアプリ利用を考え直すきっかけに

「会うならもっと慎重にすべきだったと思います。そもそも不倫はリスクの大きい行動ですし、病気の感染も含め、何かあっても責任を取れるのは自分たちだけ。スキのない行動をしたつもりだったんですけどね……」

　淳平さんは今回の経験をそう振り返ります。

　お互いの個人情報はすぐに明かさないのがマッチングアプリを安全に使う基本です。しかし、今回はそれが裏目に出てしまった模様。現在は特に「何かが起こっても誠実に対応できる関係」でないと親しくなるのは難しいようです。

＜取材・文／いなばしの＞