「もっと政治家を利用して」福岡市長が“挑戦したい若者”に送る言葉
国会議員になりたいとは考えていない
――政令指定都市・福岡の市長を10年以上務め、その実績は高く評価されています。日本を変えるためにも、国政出馬などは考えていますか?
高島:新刊にも書いていますが、「次の選挙では、いよいよ国政出馬ですか?」とよく聞かれるのですが、国会議員になりたいとは考えていません。国会は数の論理ですよね。総理大臣だって、議員や派閥に配慮しなければなりません。それでは本当にやるべきことよりも、多くの関係者から賛同を得られる最大公約数の政策しか行えなくなってしまいます。
私の目的は日本を最速で変えていくことなので、市民からの直接選挙で選ばれる首長が一番力を発揮できると思っています。こんなに首長に可能性があるとは、私も実際になるまで思ってもいませんでした。これから政治家を志す人には、ぜひ首長を目指すことをお勧めします。
コロナ禍は社会を変える大きなチャンス
――書籍ではコロナ禍のピンチをチャンスに変えるべく、さまざまな提言をされていますが、最後に国民に改めて訴えたいことはありますか?
高島:繰り返しになりますが、日本は、有事に全く対応できない国になってしまっています。有事とは、もちろんコロナ禍だけを指しているのではありません。近い将来、南海トラフ三連動地震、首都直下地震が間違いなく発生しますし、自然災害も年々激甚化しています。コロナよりも致死率の高いウイルスが蔓延する可能性もあります。その時に全く動けませんでは手遅れなんです。
このコロナ禍で国民が危機感を共有できたことは、社会を変える大きなチャンスです。しかし、現状に不満を述べているだけでは何も変わりません。有事が発生した時、日本がどういった対応ができる国であることを望むか。国民ひとりひとりが、そのことを今一度真剣に考え、行動に移すことこそが大切なのです。
私は、日本がどんな変化にも対応できる柔軟さを持ち、若い世代が未来に希望を持てる国となることを願い、福岡市というフィールドで様々なチャレンジを最速で行っていきたいと思います。
<取材・文/中野龍 写真提供/福岡市>
【高島宗一郎】
福岡市市長。1974年生まれ。大学卒業後はアナウンサーとして朝の情報番組などを担当。2010年に退社後、36歳で福岡市長選挙に出馬し当選。2014年、2018年といずれも史上最多得票で再選し現在3期目。2014年3月、国家戦略特区(スタートアップ特区)を獲得、スタートアップビザをはじめとする規制緩和や制度改革を実現するなど、数々の施策とムーブメントを実施