副業で自己実現? 地味OLの裏の顔は官能小説家
本業が忙しいなかで、どのように1か月に1本の作品を書いていたのかを聞いてみました。
「出勤前・お昼休み・退社後。全ての隙間時間を使ってとにかく書きましたね。休日はひきこもりです。すごく大変だったんですけど、充実感に満ちていました。生活にメリハリも出てきて、本業のモチベーションもあがりました」
朝、早起きをして小説を書き、業務効率を上げ残業を減らすことで「生活も規則正しくなった」とまりえさんは言います。
「とはいえ、結果は簡単にはでませんでした。書き続け、出し続けて1年が経ったんですが、一次選考までは通るもののそれ以降は全く進まないんです。それで、何を血迷ったか、ふとエロ系の小説を書いて官能小説の賞に応募したんです。ちょっとした気分転換のつもりでした」
この気まぐれがまりえさんの人生を変えます。
「そしたら、その官能小説で賞をいただきました。あっという間の出来事でした。工場とか自分が仕事で見てきた現場を舞台に官能シーンを書いたのですが、選考コメントで『リアルな状況描写がいい』と褒めてもらいました(笑)」
突然のエロ小説で人生が変わる
まりえさんは恥ずかしそうに言います。
「『手もつなげない』ような純粋な男女の恋愛作品ばかり書いていたので、まさかエロで自分が賞をとるとは思ってもいませんでした。でも書き続けていくうちに『もっと激しいエロを!』と自分のなかの何かがわきたってきています」
楽しそうに語るまりえさんに、副業とはなにかを聞いてみました。
「私の場合、完全に自己実現ですね。やりたいことを副業で思いきりやるという感じです。実際、原稿料はめちゃくちゃ安いし、正直全然稼げていませんけど、続けるつもりでいます。お金の問題ではありません」
まりえさんは「今日も原稿を書き上げてから出勤をした」と言います。副業だからこそ思いきりできる。お金ではない価値や夢を副業に託すパターンもあるようです。
<TEXT/瀧戸詠未 イラスト/超ズボン>