チロルチョコ社長「正直、ネタがなくなりつつある」と語る。爆発的にヒットした味も
コンビニやスーパーで幅広い世代に人気なのがチョコレート菓子。さまざまなコンセプトや価格帯の商品が発売され、熾烈な争いが繰り広げられている。そんななか、小銭で買える定番のチョコレート菓子といえば「チロルチョコ」だろう。
1962年の発売当初は三つ山横長タイプだったが、オイルショックに伴う物価上昇の影響から、1979年に現在の形である台形タイプに変形。以降、年間約7億個も販売されるほどの人気商品にまで成長している。
今回はチロルチョコ株式会社の代表取締役社長を務める松尾裕二さんに、発売以来約60年にわたって、愛される理由や、今後の事業展望について話を聞いた。
「正直“ネタ”がなくなりつつある」。それでも…
――チロルチョコといえば発売以来、累計400種類以上のフレーバーを世に出していますが、何か商品開発で工夫していることはありますか?
松尾裕二(以下、松尾):時代の変遷に合わせて、その時の旬なトレンドや世相を反映させたりしてきましたが、正直“ネタ”がなくなりつつあるんです(笑)。ただ、これは他社メーカーさん含めそうだと思いますが、企画担当が手を変え、品を変えて必死にアイデアを出すしかないんです。フレーバーやデザインについては、毎日、打ち合わせを行なっています。
――ということは、今この瞬間も、新たな味についてのブレストをしていると。
松尾:はい、半年ごとの大まかな商品企画の目標は決めて、あとはそれに沿って上がってきた企画案の商品を役員と開発で試食していきます。そこで、分別をつけて、良さそうなものはブラッシュアップしていく。この繰り返しですね。
“掛け算”で商品開発を行っていく
――これだけ商品を出していると、フレーバーが被ることってないんですかね。
松尾:例えばチーズフレーバーにしても、ベイクドチーズ味にしたり、焦がしチーズ味にしたり、あるいはチョコの中に入れるソースやお菓子を変えたりしています。過去の配合表を見れば、なんとなく直感や感覚で大まかな作り方は見出せるので、あとは要素を掛け算して昇華させていく。企画から試作品、商品化するまでは半年程度を目安にしています。
――商品開発をするなかで大変に思っていることはありますか?
松尾:大手小売りチェーンさんとの留型商品(特定の販売店限定商品)に関しては、毎年春夏と秋冬のシーズンに新商品を出していて、発売日から逆算した商品開発をしなくてはならない。各取引先と製造部門との折衝がスムーズに進めばいいのですが、手戻りが多くなればその分、急ぎで完成品を作らなくなるので、大変になりますね。